車屋の独立は儲かる?中古車販売の自営の年収の決まり方と儲かる店の違い

車屋の独立は儲かる? 中古車販売の自営の年収の決まり方と儲かる店の違い

車屋の独立が儲かるかどうかは、1年間に稼ぐ粗利の合計から、家賃や広告費などの経費を引いて残る金額で決まります。中古車販売の自営の年収には、勤め人の給与のような公的な平均値がなく、販売台数よりも、事業の組み立て方で決まる部分が大きいのが実情です。この記事では、自営の年収の計算のしかたを仮の例で示し、比べる物差しとして厚生労働省の統計にある自動車営業の給与を紹介したうえで、儲かっている中古車屋とそうでない店の違いを構造の面から整理します。

この記事で確認した一次情報

車屋の独立は儲かるのか|自営の年収を決める計算式

車屋として独立したときの年収は、事業の売上から経費を引いた所得で、勤め人の給与とは中身が違います。中古車販売なら、1年間に売った車の粗利と、手数料や整備、保険やローンの紹介などで得た粗利を合計し、そこから店舗の家賃、展示場の地代、広告費、通信費、システム費、車両の保険料などを引いた残りが、自分の取り分になります。ここで仮に、1台あたり平均20万円の粗利で月4台を売る店を考えると、年間の粗利は960万円です。経費が年480万円なら、残る所得は480万円になります。同じ店で月3台に落ちると粗利は720万円、所得は240万円まで下がります。この所得からさらに所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料を払うため、勤め人の額面の年収と同じ額でも、手取りの感覚は違います。

項目(仮の例) 月4台の場合 月3台の場合
1台あたりの平均粗利 20万円 20万円
年間の販売台数 48台 36台
年間の粗利の合計 960万円 720万円
年間の経費(家賃、広告、システムなど) 480万円 480万円
事業の所得(税金と社会保険料の前) 480万円 240万円

表の金額は計算のしかたを示すための仮の数字です。実際の粗利と経費は、扱う車の価格帯、仕入れ先、店舗の有無、地域によって大きく変わります。中古車販売の自営の年収について、官公庁が公表している平均値は確かめられなかったため、この記事には載せていません。

1台あたりの粗利の出し方は中古車販売の利益率と粗利の記事で、開業時にかかる費用は中古車屋の開業資金の記事で詳しく解説しています。

自動車販売の勤め人の年収(賃金構造基本統計調査)

自営の年収を考えるときの物差しになるのが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。令和5年(2023年)の調査で、職種の小分類「自動車営業職業従事者」の一般労働者(男女計、企業規模10人以上)は、平均年齢40.8歳、月のきまって支給する現金給与額が36万300円、年間賞与その他特別給与額が101万1,300円でした。月の給与の12か月分に賞与を足すと、年収はおよそ533万円になります。企業規模10〜99人に絞ると、月の給与は31万4,400円、賞与は63万4,300円で、年収に直すとおよそ441万円です。この職種には新車ディーラーの営業も含まれ、会社に雇われている人の給与なので、自営の所得とはそのまま比べられません。それでも、独立後の所得が勤めていた頃の年収を上回るかを考えるときの目安になります。

自動車営業職業従事者(令和5年・男女計) 企業規模計(10人以上) 10〜99人
平均年齢 40.8歳 44.1歳
きまって支給する現金給与額(月) 36万300円 31万4,400円
年間賞与その他特別給与額 101万1,300円 63万4,300円
年収の目安(月の給与×12+賞与) 約533万円 約441万円

年収の目安は、統計の月額を12倍して賞与を足した計算値です。統計そのものに「年収」という項目はありません。

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中古車屋の年収は「台数×粗利」では決まらない

「1台あたりいくら儲かるか × 何台売るか」で年収を計算しようとすると、たいてい実態とずれます。理由は3つあります。

理由1:売った後にも売上が立つから

納車したら終わりではありません。車検、12か月点検、消耗品交換、保証修理、次の買い替え。1人のお客様が数年にわたって売上を生みます。開業3年目以降の年収は、過去に売った顧客がどれだけ戻ってきているかで大きく変わります。

理由2:車両以外の収益が乗るから

保険、オートローンの手数料、諸費用や登録代行、リサイクルパーツを使った修理。これらは1台あたりの粗利を底上げします。逆にこれらを扱っていない店は、車両差益だけで戦うことになります。

理由3:在庫と資金繰りが利益を食うから

売れ残った在庫は、価値が下がるうえに資金が寝ます。帳簿上の粗利が出ていても、手元の現金が回らないという状態は珍しくありません。

儲かっている中古車屋の共通点

儲かっている中古車屋に共通するのは、車が売れた月に加えて、売れなかった月にも粗利が入る仕組みを持っていることです。中古車の小売は、相場の上下や季節で販売台数が月によって動きます。その波を、車検や点検の入庫、保証修理の受け入れ、保険の更新、業販での在庫の売却といった別の入口で埋めている店は、年収の下振れが小さくなります。もう一つの共通点は、顧客と車両の記録を開業初日から残していることです。誰にどの車をいつ売り、次の車検がいつかが分かれば、案内を出すだけで入庫が見込めます。次の4つは、店の規模に関係なく今日から始められます。

① 販売以外の入口を持っている

車検・点検の入庫、保証修理の受入、保険の更新。販売が止まっている月でも売上が立つ仕組みがあるかどうかが、年収の下振れを防ぎます。中古車保証の受入工場として登録しておけば、他店で販売された車両の修理も入ってきます。

② 在庫を持たない売り方も併用している

受注してから仕入れる注文販売や、新車の取次ぎを組み合わせている店は、在庫リスクを抑えながら客単価を上げられます。展示場に並べる台数がそのまま実力、という時代ではありません。

③ 出口(業販・輸出)を持っている

小売で売り切れない車を同業者に流す、あるいは海外向けに販売する。出口があると強気に仕入れられるため、結果的に良い車を安く押さえられます。

④ 顧客情報が残っている

「誰に、どの車を、いつ売って、次の車検はいつか」が記録されていない店は、リピートを取りこぼします。ここは規模の大小と関係なく、開業初日からできることです。

独立した車屋が儲からない主な理由

独立した車屋が儲からない理由は、多くの場合、粗利が足りないことよりも、経費と在庫の重さに気づくのが遅れることです。開業前に立てた計画で月の販売台数を多めに見積もり、展示場の地代や広告費を先に固めてしまうと、台数が計画に届かない月はそのまま赤字になります。また、仕入れた車が売れ残ると、値下げで粗利が削られるうえ、次の車を仕入れる資金が足りなくなります。古物商許可や営業所の要件といった手続きの不備で、開業の日程そのものが遅れることもあります。主なつまずきは、開業前の段階で確かめておけば避けられるものがほとんどです。

  • 販売台数を多めに見積もり、固定費を先に大きくしてしまう
  • 仕入れ先が1つしかなく、相場が上がると原価を選べない
  • 売れ残りの出口がなく、値下げでしか在庫を減らせない
  • 顧客の記録がなく、納車後の車検や点検の入庫が続かない

開業前に確かめる項目は中古車屋の開業で失敗しないためのチェックリストにまとめています。

車屋を一人で開業する場合の利点と注意点

近年は、展示場を持たずに注文販売と業販を中心に回す一人開業のスタイルが増えています。この形の利点と注意点を整理します。

利点

  • 店舗の賃料・内外装費がかからず、固定費が小さい
  • 在庫を持たないため資金が寝ない
  • 人件費がないので損益分岐点が低い

注意点

  • 営業所として届け出た場所と車両の保管場所は必要(無店舗でも省略できません)
  • 用途地域によって展示・保管に制限がかかる場合がある
  • 整備を外注すると原価が上がる。整備の受け皿をどう作るかが課題になる
  • 自分が動けない期間はそのまま売上ゼロになる

営業所の条件は古物商の営業所の要件の記事、副業や個人での始め方は個人事業主・副業で中古車販売を始める記事で確認できます。

中古車販売の自営で収入を安定させる方法

仕入ルートを複数持つ

オートオークションは主要な仕入先ですが、入会には古物商許可のほか保証金・入会金・年会費や審査が必要で、開業直後はハードルが高い場合があります。業販ネットワークや新車ディーラー経由の仕入れも併せて持っておくと、相場が動いても原価をコントロールできます。

アフターの体制を先に作る

保証の代理店登録、リサイクルパーツの仕入ルート、保険とオートローンの代理店登録。これらは開業してから慌てて整えるより、開業前に用意しておくほうが早いです。審査が必要なものもあるため、時間がかかります。

数字を毎月見る

在庫日数、1台あたりの粗利、入庫件数、リピート率。感覚ではなく数字で見ていないと、どこが悪いのか分かりません。車両販売システムを入れる本当の理由はここにあります。

まとめ

  • 車屋の独立後の年収は、年間の粗利の合計から経費を引いた所得で決まる
  • 令和5年の賃金構造基本統計調査では、自動車営業職業従事者の年収の目安は約533万円(企業規模10〜99人は約441万円)
  • 効くのは納車後の入庫・車両以外の収益・在庫と資金繰り
  • 儲かる店は販売以外の入口/在庫を持たない売り方/出口/顧客情報を持っている
  • 一人開業は固定費が小さい反面、営業所・保管場所・整備の受け皿が課題になる

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車屋の独立と中古車販売の自営の年収に関するよくある質問

中古車販売の自営で年収はどう決まりますか?
販売台数だけでは決まりません。1年間の粗利の合計から経費を引いた所得が自分の取り分で、納車後の車検・点検の入庫、保険やオートローンなど車両以外の収益、在庫と資金繰りの3つが大きく影響します。
車屋の独立は儲かりますか?
月の粗利の合計が固定費を上回れば利益が出ます。仮に月の固定費が40万円で1台あたりの粗利が20万円なら、月2台で固定費と同じになり、3台目からが利益です。台数の見込みを控えめに立て、固定費を小さく始めるほど赤字になりにくくなります。
自動車販売の会社員の年収はどのくらいですか?
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査では、自動車営業職業従事者(男女計、企業規模10人以上)の月のきまって支給する現金給与額が36万300円、年間賞与その他特別給与額が101万1,300円で、年収に直すとおよそ533万円です。新車ディーラーの営業も含む数字です。
一人で中古車屋を開業できますか?
できます。無店舗で注文販売と業販を中心に回すスタイルなら固定費を抑えられます。ただし営業所として届け出た場所と車両の保管場所は必要です。
中古車屋が儲かるための条件は何ですか?
販売以外の収益の入口、在庫を持たない売り方の併用、業販や輸出という出口、顧客情報の記録の4点です。
顧客情報や粗利の管理には何を使えばよいですか?
在庫、仕入価格、販売価格、顧客の車検時期をまとめて扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も受けるなら自動車整備ソフトとデータがつながるかを確かめ、開業時の台数に見合う費用かどうかで選んでください。

※本記事は収益構造の考え方を解説したもので、特定の収入額を保証するものではありません。計算例の金額は仮の数字です。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。

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