古物商許可の個人と法人の違い|申請者、役員、管理者と法人成りの手続き

古物商許可の個人と法人の違い 申請者、役員、管理者と法人成りの手続きを中古車販売店向けに整理

古物商許可は、個人で受けるか法人で受けるかで、申請者として書類を出す人の範囲と添付書類が変わります。もう一つの大きな違いは、個人の許可を後から法人に移せないことです。この記事は古物商許可ガイドの一つとして「古物商許可の個人と法人の違い」を取り上げ、申請者、役員、管理者と法人成りの手続きを中古車販売店向けに整理します。開業時にどちらで申請するかを決める材料として、警視庁、警察庁、愛知県警察、国税庁の公表資料をもとに説明します。

この記事で確認した一次情報

古物商許可の個人と法人の違い(一覧)

古物商許可の個人と法人の違いは、誰が許可を受けるか、誰の書類を出すか、許可を誰が使えるかの3点にまとまります。個人で申請すると許可を受けるのは事業主本人で、添付書類は本人と営業所の管理者の分です。法人で申請すると許可を受けるのは会社で、添付書類は役員全員と管理者の分に加え、定款と登記事項証明書が要ります。警視庁の「古物商許可申請」のページでは、手数料はどちらも19,000円です。許可の効力にも違いがあります。警察庁の解釈運用基準が古物営業許可を「対人許可」と説明しているとおり、許可は受けた人や会社に結びついており、個人の許可で会社の営業はできません。開業時の規模が小さく、将来の法人化を予定している場合は、法人化の時期に新規申請と許可証の返納が重なることを見込んでおく必要があります。

項目個人で申請法人で申請
許可を受ける者事業主本人法人(会社)
書類を出す人本人と営業所の管理者役員全員と営業所の管理者
法人だけの書類なし定款、登記事項証明書
欠格事由の判定本人について(法第4条第1号〜第10号)役員の1人でも該当すれば不可(法第4条第11号)
申請手数料(警視庁)19,000円19,000円
許可の引継ぎ法人や相続人に引き継げない代表者が交代しても変更届で継続できる

古物商許可の申請者と役員の範囲

法人で古物商許可を申請するとき、審査の対象になるのは代表者だけではありません。古物営業法第4条第11号は、法人で役員のうちに第1号から第8号までのいずれかに該当する者がいる場合、許可をしてはならないと定めています。警察庁の「古物営業法等の解釈運用基準」は、ここでいう役員を、法人において業務の執行や業務の監査などの権限を持つ者とし、株式会社の取締役と監査役、指名委員会等設置会社の執行役、持分会社の業務を執行する社員、一般社団法人などの理事と監事を例に挙げています。たとえば取締役3名と監査役1名の会社なら、4名全員について欠格事由に当たらないことが条件です。名前だけの非常勤取締役も対象になるため、法人化を機に知人を役員に迎える場合は、その人の経歴も確認しておく必要があります。

個人申請の場合は、申請者本人について第4条第1号から第10号までを確認します。欠格事由には、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑などの執行を終えて5年を経過しない者、住居の定まらない者などがあります。項目ごとの解説は「古物商許可の欠格事由」にまとめています。

古物商許可の必要書類の個人と法人の違い

古物商許可の添付書類は、古物営業法施行規則第1条の3第3項で個人と法人に分けて定められています。警視庁の案内に沿って整理すると、個人申請では本人と管理者について、略歴書、本籍(外国人は国籍等)が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書の4種類を出します。法人申請では、法人の定款と登記事項証明書に加え、役員全員と管理者について同じ4種類を出します。身分証明書は、警視庁によると本籍地のある市区町村で交付を受ける書類で、運転免許証のことではありません。役員が4名いる会社で管理者を役員以外から選ぶと、4種類の書類が5人分になります。役員が本籍地の離れた市区町村に住んでいる場合は、身分証明書の取り寄せに郵送の日数がかかるため、法人申請は個人申請より準備期間を長めに見ておくと計画が崩れにくくなります。

書類個人申請法人申請
許可申請書(別記様式第1号)必要必要
定款、登記事項証明書不要必要
略歴書、住民票の写し本人と管理者役員全員と管理者
誓約書本人と管理者役員全員と管理者
身分証明書(市区町村長の証明書)本人と管理者役員全員と管理者
URLの使用権限を疎明する資料ホームページで取引する場合ホームページで取引する場合

根拠は施行規則第1条の3で、個人は第3項第1号、法人は第2号、管理者は第3号に定められています。

書類ごとの取り寄せ先と注意点は「古物商許可の必要書類」で解説しています。

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古物商許可の管理者の選任(個人と法人に共通)

古物商許可では、個人でも法人でも、営業所ごとに管理者を1人選ぶ必要があります(古物営業法第13条第1項)。解釈運用基準によると、管理者は営業所の業務を統括管理し、従業者を実質的に指揮監督する立場の者でなければならず、営業所に常勤して業務に就ける状態にあることが前提です。古物商自身が営業所の業務を実質的に統括管理できる場合は、自分を管理者に選ぶことも認められています。したがって、1人で営業所を回す個人事業主は、本人が管理者を兼ねる形が一般的です。法人の場合も、代表者が営業所に常勤しているなら代表者が管理者を兼ねられます。営業所が2か所あって近接し、双方を実質的に統括管理できる場合は、同じ人が兼任することも許容されています。未成年者は管理者になれません(同条第2項第1号)。

  • 個人の場合、事業主本人が管理者を兼ねれば、添付書類は本人分の1組で足ります。
  • 法人の場合、代表者や常勤役員が管理者を兼ねれば、書類を出す人数は増えません。
  • 管理者を交代したときは、変更の日から14日以内に届け出ます(施行規則第5条第6項)。

営業所そのものの要件(使用権限、独立性など)は「古物商の営業所の要件」で確認できます。

法人成りしたときの古物商許可

個人事業で中古車販売を始め、売上が増えて法人化(法人成り)する場合、古物商許可は法人として新しく取り直す必要があります。愛知県警察の古物営業法Q&A(Q7)は、個人で得た許可はその人個人のもので、許可を受けた人が法人の代表取締役であっても、個人許可で法人による古物営業はできず無許可営業になると説明しています。千葉県警察のよくある質問も同じ趣旨です。許可証の書換えで名義を会社に移す手続きはありません。手順としては、会社の設立登記を済ませ、法人として許可申請を行い(手数料19,000円)、許可が出てから会社名義の営業を始めます。個人の古物営業をやめたときは、古物営業法第8条第1項第1号により許可証を返納し、施行規則第7条により事由の発生から10日以内に返納理由書を添えて所轄警察署を経由して返します。

  1. 会社の設立登記を済ませます。定款と登記事項証明書は許可申請の添付書類になります。
  2. 法人として古物商許可を申請します。手数料は19,000円で、標準処理期間は福岡県警察の案内でおおむね40日です。
  3. 法人の許可証を受け取ってから、法人名義で営業を始めます。許可前に法人名義で古物を売買すると無許可営業になります。
  4. 個人の古物営業を廃止し、廃止の日から10日以内に個人の許可証を返納します(施行規則第7条)。
  5. 標識、帳簿、ホームページの表示を法人の名称と許可番号に切り替えます(古物営業法第12条、第16条)。

手順の3と4の間は、個人の許可で個人の在庫を売り、法人の許可で法人の在庫を売る、という区別が必要になります。在庫車を個人から法人へ移す取引は帳簿上の売買になるため、税務上の扱いは税理士に確認してください。

代表者の交代と相続での古物商許可の扱い

代表者の交代や相続は、個人と法人の違いが最もはっきり出る場面です。法人の許可は会社に対して出ているため、愛知県警察のQ&A(Q9)では、新しい代表取締役を選任して代表者の変更届出をすれば、その法人の許可のまま古物営業を続けられるとされています(新しい代表者に欠格事由がある場合を除く)。変更届出は施行規則第5条第6項により、変更の日から14日以内、登記事項証明書を添付する場合は20日以内です。代表者の氏名は許可証の記載事項なので、警視庁の案内では書換申請(手数料1,500円)も必要です。これに対し個人の許可は本人限りのもので、Q8は、許可を受けていた父が亡くなった場合、子は店をそのまま引き継げず、自分で許可を取得する必要があるとしています。亡くなった人の許可証は、同居の親族又は法定代理人が遅滞なく返納します(法第8条第3項)。

場面個人の許可法人の許可
事業主や代表者の交代後継者が新規に許可申請代表者の変更届出と書換申請で継続
事業主の死亡同居の親族又は法定代理人が許可証を返納、継ぐ人は新規申請代表者の変更届出で継続
役員の追加や交替該当なし変更届出(新役員の略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書を添付)

変更届の期限と添付書類は「古物商の変更届と書換申請」で詳しく扱っています。

個人事業と法人の税務の届出の違い

古物商許可とは別に、税務署への届出も個人と法人で異なります。国税庁の「暮らしの税情報」(令和8年度版)によると、個人で事業を始めたときは「個人事業の開業・廃業等届出書」を、開業した年分の所得税の確定申告期限までに納税地の所轄税務署へ提出します。青色申告をしたい場合は「所得税の青色申告承認申請書」を、開業の日が1月1日から1月15日までなら3月15日まで、1月16日以降なら開業の日から2か月以内に出します。法人を設立したときは、法人登記の後に「法人設立届出書」を、法人設立の日以後2か月以内に提出します。法人成りの場合は、個人の廃業の届出と法人の設立の届出の両方が発生します。どちらが有利かは所得の額や家族構成で変わるため、この記事では判断せず、税理士や税務署に相談することをおすすめします。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書は、事業を始めた人とやめた人が、その年分の所得税の確定申告期限までに出します。
  • 所得税の青色申告承認申請書は、1月16日以降に開業した場合、開業の日から2か月以内に出します。
  • 法人設立届出書は、法人設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に出します。

古物商許可の個人と法人の違いのまとめ

古物商許可は、個人で申請すると本人と管理者の書類、法人で申請すると定款、登記事項証明書と役員全員および管理者の書類が必要です。法人では、取締役や監査役など役員の1人でも欠格事由に該当すると許可を受けられません。管理者は個人でも法人でも営業所ごとに1人選び、本人や代表者が兼ねることもできます。個人の許可は本人限りで、法人成りや相続のときは新しく許可を受け直します。法人の許可は会社に属するため、代表者が交代しても変更届出と書換申請で続けられます。申請手数料は個人も法人も19,000円です。将来の法人化を予定している場合は、新規申請の手数料、約40日の審査期間、個人許可証の返納の手続きをまとめて計画に入れておくと、営業の空白を作らずに済みます。

開業までの流れ全体は「中古車販売に資格は必要?古物商許可の取り方」で確認できます。

古物商許可の個人と法人の違いに関するよくある質問

個人で取った古物商許可を、法人を作った後もそのまま使えますか?
使えません。愛知県警察と千葉県警察のQ&Aは、個人で得た許可はその人個人のもので、許可を受けた人が法人の代表取締役であっても個人許可で法人による古物営業はできず、無許可営業になると説明しています。法人として新たに許可を受ける必要があります。
法人で古物商許可を申請するとき、誰の書類が必要ですか?
警視庁の案内では、法人の定款と登記事項証明書に加え、役員全員と営業所の管理者について、略歴書、本籍が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書が必要です。
法人の役員とは誰のことですか?
警察庁の解釈運用基準では、業務の執行や監査などの権限を持つ者をいい、株式会社の取締役と監査役、持分会社の業務を執行する社員などが当たります。役員の1人でも欠格事由に該当すると、法人は許可を受けられません(古物営業法第4条第11号)。
会社の代表者が交代したら、許可を取り直す必要がありますか?
取り直しは不要です。愛知県警察のQ&Aでは、新しい代表取締役を選任したうえで代表者の変更届出をすれば、その法人の許可のまま営業を続けられるとしています。届出は変更の日から14日以内、登記事項証明書を添付する場合は20日以内です。
個人で許可を受けていた親が亡くなった場合、子が店を継げますか?
許可は引き継げません。愛知県警察のQ&Aは、亡くなった人の許可はその人個人のものなので、子が自分で許可を取得する必要があるとしています。亡くなった人の許可証は、同居の親族又は法定代理人が返納します(古物営業法第8条第3項)。
中古車販売を始めるとき、車両や顧客の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

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