古物商の行商と出張買取|取引できる場所の制限、行商従業者証と催事販売の届出

古物商の行商と出張買取のルール 行商の届出、行商従業者証、取引できる場所の制限を中古車の買取向けに整理

中古車の出張買取、お客様の自宅での商談、イベント会場での展示販売は、古物営業法ではいずれも「行商」に当たります。行商は古物商許可の範囲で行えますが、許可申請のときに行商「する」を選んでおくこと、取引できる場所の制限を守ること、許可証や行商従業者証を持ち歩くことが条件です。この記事は古物商許可ガイドの一つとして「古物商の行商と出張買取のルール」を扱い、行商の届出、行商従業者証、取引できる場所の制限を中古車の買取向けに整理します。

この記事で確認した一次情報

古物商の行商とは(出張買取との関係)

古物商の行商とは、古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引のことです。警察庁の「古物営業法等の解釈運用基準」(令和6年8月14日通達)はこう定義したうえで、自動車のセールスマン等が取引の相手方の住所又は居所において行う古物の売買、古物市場において古物商間で行う古物の取引、いわゆる展示即売会における古物の売却、仮設店舗における古物の売買を、すべて行商に含まれる例として挙げています。中古車販売店に当てはめると、お客様の自宅へ出向いて車を査定し買い取る出張買取、オートオークション会場での取引、ショッピングモールなどでの展示販売は、どれも行商です。古物営業法第5条第1項第5号により、許可申請書には行商をしようとする者であるかどうかを書く欄があります。出張買取を予定しているなら、許可申請の段階で行商「する」を選んでおくのが基本です。

取引の形行商に当たるか解釈運用基準の例示
お客様の自宅での査定と買取り当たる相手方の住所又は居所における売買
オートオークション会場での取引当たる古物市場における古物商間の取引
展示即売会での販売当たる展示即売会における売却
催事場のブースや車両を使った出店当たる仮設店舗における売買
自社の営業所での店頭取引当たらない営業所での取引

行商「しない」で許可を受けた後に出張買取を始める場合は、古物営業法第7条第2項の変更届出が必要です。警視庁の案内では、行商の「する」「しない」の変更は許可証の書換えを伴う変更とされ、変更の日から14日以内に届け出て、書換申請の手数料1,500円を納めます。

古物商の出張買取で取引できる場所

古物商が一般のお客様から古物を受け取ってよい場所は、古物営業法第14条第1項で、営業所と取引の相手方の住所若しくは居所の2つに限られています。条文は、これら以外の場所で、買い受け若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないと定めています。中古車の出張買取なら、お客様の自宅や自宅の駐車場で車を受け取るのは認められますが、お客様の勤務先、待ち合わせたコンビニやスーパーの駐車場、ガソリンスタンドなどで車を受け取ると、この規定に違反します。違反した場合は第32条により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象で、法人には第38条により罰金刑が科されます。例外は、あらかじめ公安委員会に日時と場所を届け出た仮設店舗で営業する場合です。

受け取る場所一般の売主から受け取れるか根拠
自社の営業所受け取れる法第14条第1項
売主の住所又は居所(自宅、自宅の駐車場)受け取れる法第14条第1項
売主の勤務先、店舗の駐車場、路上受け取れない法第14条第1項(違反は第32条)
届出済みの仮設店舗受け取れる法第14条第1項ただし書
古物商から買う場合(業者間取引)場所の制限なし法第14条第1項は古物商以外の者からの受取りが対象

「住所若しくは居所」の具体的な範囲(実家、別荘、月極駐車場など)について、警察庁や警視庁の公表資料に個別の判断例は見当たりません。自宅以外を指定されたときは、営業所に車を持ち込んでもらうか、所轄警察署に確認してから受け取るのが安全です。

行商従業者証と許可証の携帯

行商をするときは、古物商本人は許可証を、従業員は行商従業者証を携帯しなければなりません(古物営業法第11条第1項、第2項)。取引の相手方から提示を求められたときは、これを見せる義務もあります(同条第3項)。行商従業者証の様式は施行規則第10条で別記様式第12号と定められており、警視庁の「行商従業者証の様式」のページによると、材質はプラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するもの、大きさは縦5.5センチ、横8.5センチです。表には行商をする従業員の氏名、生年月日を書き、縦2.5センチ以上、横2.0センチ以上の写真を貼ります。施行規則第12条により、団体が定めて公安委員会などの承認を受けた様式も使え、島根県警察の「古物営業の手引き」(令和5年8月)は、承認された例として日本中古自動車販売協会連合会の行商従業者証を挙げています。

  • 古物商本人が出張買取に行く:許可証を携帯する(第11条第1項)
  • 従業員が出張買取に行く:その従業員の行商従業者証を携帯させる(第11条第2項)
  • お客様から求められた:許可証又は行商従業者証を提示する(第11条第3項)

許可証や行商従業者証を携帯しなかった場合は、第35条第2号により10万円以下の罰金の対象です。行商従業者証は従業員ごとに作るため、出張買取の担当者が入れ替わったときは新しい従業者証を用意し、退職者の分は回収します。

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催事販売と仮設店舗営業の届出

催事場やイベント会場で中古車を展示販売したり買取りを受け付けたりする場合は、仮設店舗の規定を確認します。仮設店舗とは、営業所以外の場所に仮に設けられる店舗で容易に移転できるものをいい、解釈運用基準は催事場等のブース、車両を駐車して店舗として用いる出店、屋台等を例に挙げています。仮設店舗でお客様から古物を受け取る(買い取る)場合は、古物営業法第14条第1項ただし書と施行規則第14条の2により、営業を営む日から3日前までに、その場所を管轄する警察署へ別記様式第14号の2の仮設店舗営業届出書を出します。警視庁の案内では手数料はかかりません。福岡県警察は、4月5日に営業を始めるなら4月1日までに届け出る(4日、3日、2日の3日間をはさむ)という数え方を示しています。

催事での取引仮設店舗営業届出標識と許可証等
展示販売のみ(古物を受け取らない)不要標識の掲示、許可証又は行商従業者証の携帯が必要
買取りも受け付ける3日前までに必要標識の掲示、許可証又は行商従業者証の携帯が必要

解釈運用基準は、日時を「○月○日から○月○日までのいずれかの日」としたもの、営業時間を「0時から24時まで」としたもの、住所番地や大規模施設の階を特定していないもの、移動しながら営業する車両の出店などを、特定が不十分な例として挙げています。また、一定の期間に限らず継続的に営業するための場所は仮設店舗と認められないため、常設の展示場にする場合は営業所の追加として届け出ます。

自動車の出張買取で行う本人確認と記録

出張買取でも、営業所での買取りと同じく、相手方の確認と帳簿への記録が必要です。古物営業法第15条第1項は、古物を買い受けるときに相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認するなどの措置を求めています。対面の出張買取では、施行規則第15条第1項により、運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書等の提示を受けて確認するのが一般的です。施行規則第16条により対価の総額が1万円未満の取引は確認が免除されますが、自動車が1万円未満で取引される場面は多くありません。確認した内容は、法第16条により古物台帳に記載し、自動車の場合は別記様式第15号の備考に従って車検証の登録番号、車名、車台番号、所有者の氏名又は名称を特徴欄に写します。出張先で売主と車検証上の所有者が違う場合は、売却の権限を確かめてから受け取ります。

  • 身分証明書等の原本で、住所、氏名、年齢又は生年月日を確認する
  • 職業は口頭で聞き取り、台帳に記入する
  • 車検証の所有者と売主が一致しない場合(ローン会社名義など)は、その場で受け取らず書類をそろえる
  • 不正品の疑いがあるときは、直ちに警察官に申告する(法第15条第3項)

出張先で入力した内容を営業所の台帳に反映させる方法は「古物台帳はエクセルで作れる?様式第15号の項目」、記載の基本は「古物台帳の書き方」で解説しています。

オートオークションと業者間取引での行商の扱い

中古車の仕入れで使うオートオークション(古物市場)での取引も、解釈運用基準では行商の例に入っています。古物市場では古物商間でしか売買できないため(古物営業法第14条第3項)、施行規則第15条第4項は、古物市場主に対し、取引をしようとする者が古物商又はその代理人等であることを、許可証、行商従業者証その他の証明書で確かめるよう求めています。会場に従業員だけを行かせる場合は、行商従業者証を持たせておくと確認がスムーズです。業者間で車を売り買いするときは、第14条第1項の場所の制限は古物商以外の者から受け取る場合の規定なので、相手が古物商であれば営業所外での受渡しも制限されません。ただし、警視庁は、古物商同士の取引でも相手方の確認義務は免除されないと案内しています。

オートオークションの入会条件と手続きは「古物商許可とオートオークション会員」にまとめています。

古物商の行商と出張買取のまとめ

中古車の出張買取、展示即売会、仮設店舗での販売、オートオークションでの取引は、古物営業法上の行商に当たります。許可申請では行商「する」を選び、後から始める場合は14日以内の変更届出と書換申請(手数料1,500円)を行います。一般のお客様から車を受け取れるのは、営業所、相手方の住所若しくは居所、届出済みの仮設店舗だけで、勤務先や店舗の駐車場での受取りは第32条の罰則の対象です。行商中は本人が許可証を、従業員が行商従業者証(縦5.5センチ、横8.5センチ、写真付き)を携帯します。催事で買取りも行うときは3日前までに仮設店舗営業届出を出し、出張先でも身分証明書等による確認と台帳への記録を欠かさないようにします。

古物商許可の取り方の全体像は「中古車販売に資格は必要?古物商許可の取り方」で確認できます。

古物商の行商と出張買取に関するよくある質問

中古車の出張買取をするには、行商の許可が別に必要ですか?
別の許可は要りません。古物商許可の申請書で、行商をしようとする者であるかどうか(行商「する」「しない」)を記載する欄があり、「する」で許可を受けていれば出張買取ができます。「しない」で許可を受けた後に始める場合は変更届出が必要で、許可証の記載事項に当たるため書換申請(警視庁の案内で手数料1,500円)も行います。
出張買取で、お客様の勤務先やコンビニの駐車場で車を受け取ってもよいですか?
受け取れません。古物営業法第14条第1項は、営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所で、買い受けるために古物商以外の者から古物を受け取ることを禁じています。違反すると第32条により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です。
従業員に出張買取をさせるときは何を持たせればよいですか?
行商従業者証です。古物営業法第11条第2項により、代理人や使用人などに行商をさせるときは、施行規則別記様式第12号の行商従業者証を携帯させる必要があります。警視庁の案内では、材質はプラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するもの、大きさは縦5.5センチ、横8.5センチで、本人の写真を貼ります。
イベント会場で中古車の買取りを行うには、何の届出が必要ですか?
仮設店舗営業届出が必要です。古物営業法第14条第1項ただし書と施行規則第14条の2により、仮設店舗で古物営業を営む日から3日前までに、その場所を管轄する警察署へ別記様式第14号の2の届出書を出します。警視庁の案内では手数料はかかりません。
オートオークション会場での取引も行商に当たりますか?
当たります。警察庁の解釈運用基準は、古物市場において古物商間で行う古物の取引を行商の例に挙げています。古物商本人は許可証を、従業員は行商従業者証を携帯する必要があります。
中古車販売を始めるとき、車両や顧客の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

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