陸送業者の選び方と中古車販売店の陸送手配|積載車・自走・回送ナンバー・料金と保険

中古車屋を始めると、オークション会場からの引取り、遠方のお客様への納車、下取り車の移動など、車を運ぶ仕事が毎週のように出てきます。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、販売店が陸送を手配するときの方法(積載車・自走・回送ナンバー)、陸送業者の料金の決まり方、事故に備えた保険の確かめ方、自社で他人の車を運ぶ場合に要る許可を、道路運送車両法と貨物自動車運送事業法の条文(e-Gov法令検索)、関東運輸局の回送運行の取扱要領、中国運輸局の案内で確かめて整理しました。特定の業者の紹介はしません。
この記事で確認した一次情報
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索)第34条・第35条の臨時運行、第36条の2の回送運行
- 自動車の回送運行の許可事務等の取扱要領(関東運輸局 2022年4月)販売業者の回送の目的、有効期間、保険証の提示
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov法令検索)第2条の定義、第3条の許可、第36条の届出
- トラック事業を始めるには(中国運輸局)一般貨物自動車運送事業の許可基準の例
中古車販売店の陸送とは
中古車販売店の陸送とは、仕入れた車や売った車を、オークション会場、店舗、整備工場、お客様の自宅などの間で道路を使って運ぶことです。運び方は大きく分けて、積載車(キャリアカー)に載せて運ぶ方法と、ナンバーの付いた車をドライバーが運転して運ぶ自走の2つです。車検が切れた車や抹消登録をした車はそのままでは公道を走れないため、自走させるには臨時運行の許可(仮ナンバー)か回送運行の許可(回送ナンバー)が要ります。道路運送車両法第35条は、臨時運行の許可を試運転や新規登録・検査の申請のための回送などに限り、有効期間は原則5日以内と定めています。仕入れの台数が増えると陸送の回数も増えるため、自社で運ぶ分と業者に頼む分を早めに分けておくと、納車の日程が安定します。
| 運び方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 積載車で運ぶ | 車検切れの車、不動車、遠方、雨の日の納車 | 積み降ろしの場所の広さ、車高の低い車の可否 |
| 自走(ナンバー付きの車) | 近距離の納車、車検の残っている車の移動 | 走行距離が増える、運転中の事故の補償 |
| 臨時運行の許可(仮ナンバー) | 車検切れの車を登録や検査のために運ぶとき | 目的と経路が決まっている、有効期間は原則5日以内 |
| 回送運行の許可(回送ナンバー) | 販売業者が業務として何台も回送するとき | 地方運輸局長の許可、許可証と番号標の管理 |
販売店が使える回送ナンバーの許可
回送ナンバーは、道路運送車両法第36条の2の回送運行の許可を受けた者が、業務として回送する自動車に付ける番号標です。関東運輸局の取扱要領(2022年4月14日)では、許可の対象を自動車の製作、販売、陸送又は特定整備を業とする者とし、中古車の販売を業とする者は、各都県の中古自動車販売商工組合や中古自動車販売協会の会員である書面などで業態を証明します。許可の有効期間は5年で、許可証の交付を申請するときは、許可の有効期間に見合う期間の自動車損害賠償責任保険の証明書を出します。販売業者の回送の目的としては、仕入先から営業所までの回送、納品のための回送、展示や顧客への提示のための回送、車検や登録や封印のための回送、下取り車の処理のための回送などが挙げられています。
- 許可の基準や必要な書類は運輸局ごとの取扱要領で決まっています。申請前に、営業所を管轄する運輸支局に確かめます。
- 許可を受けた後は、許可証や番号標の使用を管理簿に記録し、毎年5月31日までに前年度末の状況を報告すると関東運輸局の要領は定めています。
- 開業直後で台数が少ないうちは、臨時運行の許可か、陸送業者の積載車で足りることもあります。
回送運行の許可の基準と使い方は回送運行許可(ディーラーナンバー)とは、仮ナンバーの申請は仮ナンバー(臨時運行許可)の申請先と必要書類にまとめています。
陸送業者の料金の決まり方
陸送業者の料金は、運ぶ距離、運び方(積載車か自走か)、車の大きさと状態、引取りと納車の場所の条件、日時の指定の5つでおおむね決まります。公的な料金表や相場の統計は公表されていないため、この記事では金額を書かず、見積の取り方を示します。積載車は一度に何台載せるかで1台あたりの費用が変わり、同じ方面への便にまとめられると下がることがあります。自走は運転者の交通費や帰りの移動費が上乗せされることがあり、高速道路やフェリーの料金を実費で別に請求するかどうかも業者で違います。動かない車、車高の低い車、大型の車は積み込みに手間がかかるため、見積の前に伝えます。
- 引取り先と納車先の住所、希望の日時、車名と型式、車検の有無、自走できるかを伝えます。
- 積載車と自走の両方で見積を出してもらい、高速代やフェリー代が含まれるかを確かめます。
- キャンセル料、待機料、日時指定の追加料金の有無を確かめます。
- 同じ条件で2〜3社から見積を取り、保険の内容と合わせて比べます。
オークション会場から店までの距離は、仕入れ先を選ぶときの条件にもなります。仕入れの経路は中古車の仕入れルート、オークションの会員になる方法はオートオークションの会員になるにはにまとめています。
陸送中の事故に備える保険の確認
陸送中の事故に備える保険は、頼む前に業者の保険が運んでいる車そのものの損害を補償するか、補償の上限額はいくらか、自己負担額(免責)があるかを書面で確かめます。陸送で起こる損害は、運んでいる車の傷や破損と、運転中に第三者に与えた損害の2つに分かれ、どちらをどの保険で補償するかは業者の契約によって違います。自走で運ぶ場合、回送運行の許可を受ける販売業者には、関東運輸局の要領で許可の有効期間に見合う自賠責保険の証明書の提示が求められていますが、自賠責は対人の損害に限られます。引渡しの時点の車の状態を写真と書面で残しておくと、到着時に見つかった傷がいつのものかで話がこじれにくくなります。
- 業者の保険で、運んでいる車の損害(車両の損害)が補償されるか、上限額はいくらかを確かめます。
- 自走のときに第三者に与えた損害を、どの保険で補償するかを確かめます。
- 引取りと納車の両方で、傷の位置を書いた確認書に双方が署名します。
- お客様の車を運ぶときは、お客様の自動車保険が使えるかどうかを事前に伝えておきます。
日本カーネットでは、自社の保険の見直しを考える販売店に保険会社のご紹介まで行っています(各社の審査があります)。補償の中身は保険会社の説明で確かめてください。
自社で陸送する場合の許可(一般貨物自動車運送事業)
自社で陸送する場合に許可が要るかどうかは、他人の需要に応じて有償で運ぶかどうかで決まります。貨物自動車運送事業法第2条第2項は、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車と二輪の自動車を除く)を使って貨物を運送する事業を一般貨物自動車運送事業と定め、第3条で国土交通大臣の許可が要るとしています。軽自動車で同じことをする貨物軽自動車運送事業は、第36条で届出が要ります。自社の在庫車を自社の積載車で店に運ぶのは自社の荷物の輸送で、この定義には当たらないと読めます。一方、他店やお客様から頼まれ、運賃をもらって車を積載車で運ぶ仕事は、この定義に当たる可能性があります。中国運輸局は、一般貨物自動車運送事業の許可基準の例として、営業所ごとに車両5両以上、運行管理者と整備管理者の確保などを挙げています。
- 「納車費用」として運ぶ費用をお客様から受け取る場合の扱いは、取引の形によって判断が分かれることがあります。営業所を管轄する運輸支局に事前に相談します。
- 自走で他人の車を運転して届ける場合は、貨物の運送とは別の扱いになります。業として受けるなら回送運行の許可の要否もあわせて確かめます。
- 許可の申請書は、営業所を置く県の運輸支局に出すと中国運輸局は案内しています。
納車費用の表示の決まりは中古車の支払総額表示のルール、納車までの書類は中古車販売に必要な書類一覧で確認できます。車庫証明の段取りは車庫証明の代行と販売店の実務にまとめています。
陸送業者に関するよくある質問
- 車検の切れた車を店まで運ぶにはどうすればよいですか?
- 積載車で運ぶか、臨時運行の許可(仮ナンバー)を受けて自走させます。道路運送車両法第35条は、臨時運行の許可を新規登録や検査の申請のための回送などに限り、有効期間を原則5日以内としています。
- 中古車販売店でも回送ナンバーを使えますか?
- 道路運送車両法第36条の2の回送運行の許可を地方運輸局長から受ければ使えます。関東運輸局の要領では、中古車の販売を業とする者は中古自動車販売商工組合などの会員である書面などで業態を証明し、許可の有効期間は5年です。
- 陸送の料金の相場はいくらですか?
- 公的な料金表や統計は公表されていません。距離、積載車か自走か、車の大きさと状態、場所の条件、日時の指定で決まるため、同じ条件で2〜3社から見積を取り、保険の内容と合わせて比べます。
- 自社の積載車で他店の車を運んで運賃をもらってもよいですか?
- 他人の需要に応じて有償で貨物を運ぶ事業は、貨物自動車運送事業法第3条で国土交通大臣の許可が要ります(軽自動車で行う場合は第36条の届出)。頼まれて運ぶ前に、営業所を管轄する運輸支局に確かめてください。
- 陸送の予定と在庫の状況をまとめて管理するには?
- 仕入れ先、引取りの日、納車の日、陸送の費用を車ごとに記録できる車両販売システム(車販ソフト)を使うと、どの車がいまどこにあるかを在庫一覧で追えます。整備の予定と並べて見たい場合は自動車整備ソフトとつながるかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 関東運輸局 自動車の回送運行の許可事務等の取扱要領:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000163113.pdf
- 関東運輸局 自動車の回送運行について:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/touroku/kaisou_unkou.html
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083
- 中国運輸局 トラック事業を始めるには:https://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/jidousha/truckhazime.html
- 国土交通省 一般貨物自動車運送事業:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000102.html
