引取業の登録とは?中古車販売店に必要なケースと登録先・手数料・更新

引取業の登録と中古車販売 廃車を預かるなら必要な登録の範囲と手続きを条文で確認

引取業の登録は、自動車リサイクル法第42条にもとづき、車の所有者から使用済自動車(解体に回す車)を引き取る事業者が受ける都道府県知事等の登録です。中古車として買って中古車として売るだけなら登録は要りませんが、下取りの流れで「廃車にしてほしい」と頼まれる場面が中古車屋には必ずあります。中古車屋の開業ガイドとして、「引取業の登録と中古車販売」の関係を整理し、廃車を預かるなら必要な登録の範囲と手続きを条文で確認します。

この記事で確認した一次情報

引取業の登録とは(自動車リサイクル法第42条)

引取業とは、自動車リサイクル法第2条第11項で「自動車の所有者から使用済自動車の引取りを行う事業」と定義されている事業です。所有者の委託で、所有者が指定した相手に運ぶだけの運搬事業は除かれます。この事業を行う者は、第42条第1項により、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市または特別区では市長または区長)の登録を受けなければなりません。登録を受けずに引取業を行うと、第138条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。法律上の「自動車」には、二輪車、大型特殊自動車と小型特殊自動車、被けん引車は含まれません(第2条第1項)。東京都環境局のFAQでも、バイクは自動車リサイクル法の対象外と説明されています。

項目法律の定め
対象となる事業所有者から使用済自動車を引き取る事業が対象です(第2条第11項)。
登録先事業所を管轄する都道府県知事に申請します。保健所設置市と特別区では市長、区長が窓口です(第42条第1項)。
有効期間5年ごとに更新しないと効力を失います(第42条第2項)。
無登録営業の罰則1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(第138条第1号)。
変更と廃業申請事項の変更や廃業は、その日から30日以内に届け出ます(第46条、第48条)。

中古車販売で引取業の登録が必要になるケース

中古車販売店で引取業の登録が必要かどうかは、所有者がその車を「中古車として売る」のか「使用済自動車として手放す」のかで決まります。東京都環境局のFAQは、単に要らなくなった車は中古車として売ることも使用済にすることもでき、所有者の意向を確認して引取業者が引き取った時点で使用済自動車として確定すると説明しています。具体例として、引取業の登録がない販売店Aが新車販売の際に旧車の廃車を頼まれた場合、その車はその時点で使用済自動車であり、Aは引き取れず、登録のある解体業者Bがユーザーから直接引き取る必要があるとしています。逆に、ユーザーが中古車として売った車をAが店頭に並べ、売れずに廃車にした場合は、Aが最終所有者、Bが引取業者になります。

場面引取業の登録の要否
中古車として買い取り、中古車として販売する登録は要りません。古物営業法の許可で足ります。
下取りの際、お客様が廃車を希望した登録が要ります。登録がなければ、登録業者にユーザーから直接引き取ってもらいます(東京都環境局FAQの例2)。
自店で買い取った在庫を売れずに廃車にする自店は最終所有者として、引取業者に引き渡す側になります(同FAQの例1)。
一時抹消後に再登録する車や輸出する車中古車として扱われます(同FAQの注記)。

埼玉県のよくある質問(Q4)は、廃車を頼まれて引き取った車を、まだ使えるからと中古車として転売することは第9条第1項の引取義務に反し、使用済自動車として引き取った車は以後中古車として扱えないと回答しています。また、リサイクル料金が預託されている車を中古車として下取る場合は、リサイクル預託金相当額を売買代金に加えて最終所有者に支払う必要があるとしています。

くるま屋開業スタート支援パック

古物商許可や引取業の登録など、中古車屋の開業で必要になる手続きの順番を整理し、販売と在庫の管理まで一緒に準備できます。

開業パックを申し込むまずは無料で相談する

引取業の登録先と手数料、期間、更新

引取業の登録申請は、事業所の所在地を管轄する都道府県(保健所設置市、特別区)の担当課に出します。申請書には、氏名または名称と住所、事業所の名称と所在地、法人なら役員の氏名、そしてエアコンにフロン類が含まれているかを確認する体制を書きます(第43条)。手数料は法律で全国一律に決まっておらず、各自治体が定めています。例として埼玉県の公式ページでは、新規申請5,500円、更新申請4,000円で、令和5年12月末の証紙廃止以降はキャッシュレスで納付する案内になっています。標準処理期間は、今回確認した埼玉県のページには記載がありませんでした。更新については、埼玉県は満了日の2か月前から受け付け、満了日を過ぎると新規申請扱いになると明記しています。

手続き埼玉県の例(2026年3月19日掲載のページ)
申請方法原則は電子申請で、難しい場合は事前予約のうえ窓口で受け付けます。
手数料新規申請は5,500円、更新申請は4,000円です。
更新の受付原則として有効期間満了日の2か月前から受け付けます。
期限切れ満了日を過ぎると新規申請の扱いになります。
窓口が市になる地域さいたま市、川越市、越谷市、川口市の事業所は各市に申請します。

手数料や受付方法は自治体ごとに異なります。上の表は埼玉県の公式ページに書かれた内容で、他の都道府県や保健所設置市にそのまま当てはまるとは限りません。

引取業者の義務(引取り、引渡し、移動報告、標識)

引取業者になると、引き取りを断れない義務と、電子マニフェストへの報告義務が生じます。第9条は、使用済自動車の引取りを求められたときは、リサイクル料金(再資源化預託金等)が預託されているかを確認したうえで、正当な理由がある場合を除き引き取らなければならないと定めています。預託されていない場合は、預託すべきことを告知します。第10条は、引き取った車を速やかに、フロン類入りのエアコンを積んでいればフロン類回収業者へ、積んでいなければ解体業者へ引き渡すよう求めています。第81条と施行規則第83条、第84条により、引取りと引渡しの報告は、それぞれ引き取った日、引き渡した日から3日以内に情報管理センターへ行います。さらに第50条で、事業所ごとに公衆の見やすい場所へ標識を掲げます。

  • 引取義務として、預託の有無を確認し、正当な理由がない限り引き取る(第9条)
  • 引渡義務として、フロン類回収業者または解体業者へ速やかに引き渡す(第10条)
  • 移動報告として、引取りと引渡しを、それぞれ3日以内に情報管理センターへ報告(第81条、施行規則第83条、第84条)
  • 標識として、事業所ごとに氏名または名称、登録番号などを掲示(第50条)

埼玉県のFAQ(Q5)は、リサイクル料金を支払う義務があるのは最終所有者であり、引取業者が自ら負担したり、後工程の解体業者に負担させたりするのは不適当だと回答しています。

引取業とフロン類回収業の違い

引取業とフロン類回収業は、同じ自動車リサイクル法の別々の登録です。引取業(第42条)は所有者から使用済自動車を引き取る事業、フロン類回収業(第53条)は使用済自動車に積まれたエアコンからフロン類を回収する事業です(第2条第12項)。どちらも都道府県知事等の登録で、有効期間は5年です。中古車販売店が廃車の窓口だけを担うなら引取業の登録で足り、フロン類の回収作業まで自社で行うなら両方の登録が必要になります。埼玉県は、フロン類回収業者には毎年4月1日から4月30日の間に前年度の回収実績を報告する義務があると案内しています。冷凍車の荷台の冷凍機はフロン排出抑制法の対象で、運転席のエアコンは自動車リサイクル法の対象という整理も、同じFAQに載っています。

引取業フロン類回収業
根拠第42条で登録を受けます。第53条で登録を受けます。
主な仕事所有者から使用済自動車を引き取り、次の業者へ渡します。使用済自動車のエアコンからフロン類を回収します。
登録先と期間都道府県知事等の登録で、5年ごとに更新します。同じく都道府県知事等の登録で、5年ごとに更新します。
年次報告今回確認した資料には記載がありません。前年度の回収実績を毎年4月に報告します(埼玉県の案内)。

JARCの自動車リサイクルシステムへの登録

自治体で引取業の登録を受けたら、次に公益財団法人自動車リサイクル促進センター(JARC)が運営する「自動車リサイクルシステム」への事業者登録を行います。自動車リサイクルシステムの事業者登録ページは、システムへの登録には事前に都道府県知事または保健所設置市の市長の登録や許可を受けている必要があると案内しています。埼玉県も、登録業者は県への登録とは別にこのシステムへの登録が必要で、その際に県が通知する登録通知書が要ると説明しています。移動報告(電子マニフェスト)やリサイクル料金の預託状況の確認はこのシステムで行うため、県の登録だけ済ませてシステム登録を忘れると、引き取った車の報告ができません。順番は、自治体の登録、登録通知書の受領、JARCのシステム登録、の3段階です。

  1. 事業所のある都道府県等に引取業の登録を申請する
  2. 登録通知書を受け取る
  3. 自動車リサイクルシステムで事業者登録を行う(新規登録は一度も登録したことがない場合のみ)

中古車屋の開業で必要な許可と費用の全体像は「中古車屋の開業資金はいくら必要?」と「中古車販売に資格は必要?古物商許可の取り方」、オークション会場の会員資格は「古物商許可とオートオークション会員」で確認できます。

引取業の登録のまとめ

引取業の登録は、所有者から使用済自動車を引き取る事業に必要な、自動車リサイクル法第42条の登録です。中古車として買って中古車として売るだけなら不要ですが、お客様から廃車を頼まれた車を預かるなら必要になります。登録先は事業所を管轄する都道府県知事(保健所設置市、特別区は市長、区長)で、有効期間は5年、無登録で行うと1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。手数料は自治体ごとで、埼玉県の例は新規5,500円、更新4,000円です。登録後は引取義務、3日以内の移動報告、標識の掲示が求められ、JARCの自動車リサイクルシステムへの事業者登録も必要です。フロン類を自社で回収するなら、フロン類回収業の登録も別に受けます。

許可なしで車を売った場合の扱いは「古物商許可なしで車を売るとどうなる?」にまとめています。

引取業の登録に関するよくある質問

中古車販売だけなら引取業の登録は要りませんか?
中古車として買い取り、中古車として売るだけなら、引取業の登録がなくても営業できます。登録が必要になるのは、所有者から使用済自動車(解体に回す車)として引き取る場合です。東京都環境局のFAQでは、引取業の登録がない販売店は所有者から使用済自動車を引き取れず、預かって保管や運搬をすることもできないと説明しています。
引取業の登録はどこに申請しますか?
事業所の所在地を管轄する都道府県知事に申請します(自動車リサイクル法第42条)。保健所を設置する市や特別区に事業所がある場合は、その市長または区長が窓口です。埼玉県の場合、さいたま市、川越市、越谷市、川口市の事業所は各市の担当課が受け付けます。
引取業の登録手数料はいくらですか?
手数料は自治体ごとに定められています。埼玉県の公式ページでは、新規申請5,500円、更新申請4,000円と案内されています。全国一律の金額は法律には書かれていないため、事業所のある自治体のページで確認してください。
引取業の登録に有効期限はありますか?
あります。登録は5年ごとに更新を受けなければ効力を失います(第42条第2項)。埼玉県は、有効期間の満了日を過ぎた場合は更新ではなく新規申請が必要になると案内しています。
引取業者とフロン類回収業者の両方の登録が必要ですか?
引き取るだけで、エアコンのフロン類を自分で回収しないなら引取業の登録で足ります。引取業者は、フロン類が入ったエアコンを積んだ車はフロン類回収業者へ、そうでない車は解体業者へ引き渡します(第10条)。自社でフロン類を回収する場合は、別にフロン類回収業者の登録(第53条)が必要です。
中古車販売を始めるとき、車両や顧客の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です