古物商とは?資格試験はなく公安委員会の許可|古物13品目と自動車、許可が要る取引

古物商とは 資格試験はなく公安委員会の許可 古物13品目と自動車、許可が要る取引

古物商とは、都道府県公安委員会の許可を受けて、中古品などの古物を売買、交換する営業をする人のことです。「古物商の資格」と呼ばれることがありますが、試験に合格して取る資格はなく、古物営業法第3条にもとづく公安委員会の許可です。この記事は古物商許可ガイドの一つとして、古物営業法の定義、古物の13品目と自動車、古物商と古物市場主、古物競りあっせん業者の違い、許可が要る取引と要らない取引、許可を取った後の主な義務を、e-Gov法令検索の条文と警視庁、愛知県警察の案内で整理しています。

この記事で確認した一次情報

古物商とは(古物営業法の定義)

古物商とは、古物営業法第2条第3項で「次条の規定による許可を受けて前項第一号に掲げる営業を営む者」と定められた人です。ここでいう営業は、古物を売買し、交換し、又は委託を受けて売買、交換する営業です。古物の定義は同条第1項にあり、一度使用された物品、使用されない物品で使用のために取引されたもの、これらに幾分の手入れをしたもの、の3つが含まれます。つまり新品同様でも、一度消費者の手に渡るなど使用のために取引された物は古物にあたります。法律の目的は第1条に書かれており、盗品等の売買の防止と速やかな発見を図り、窃盗その他の犯罪の防止と被害の迅速な回復に役立てることです。中古車販売店が車を買い取り、整備して売る仕事は、この古物の売買そのものです。そのため中古車屋を開業する人は、まず古物商の許可を受けることになります。

用語 古物営業法の定義(要約) 条文
古物 一度使用された物品、使用されない物品で使用のために取引されたもの、これらに幾分の手入れをしたもの 第2条第1項
古物営業 古物の売買、交換、委託を受けての売買や交換などの営業 第2条第2項
古物商 許可を受けて、古物の売買などの営業(第2条第2項第1号)を営む者 第2条第3項

古物の定義からは、船舶、航空機、鉄道車両、土地や建物に固定した重量1トン超の機械など、政令で定める大型機械類が除かれています(古物営業法施行令第2条)。自動車はこの除外に入っていません。

古物商の資格に試験や難易度はあるか

古物商の資格に試験や難易度はありません。古物営業法第3条は、古物の売買などの営業を営もうとする者は都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定めており、許可は申請を審査して出されます。審査で見られるのは第4条の許可の基準で、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑や窃盗などの罪で罰金刑を受けて5年を経過しない者、住居の定まらない者など、11の項目に当てはまる場合は許可されません。警視庁の案内では、申請先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)、手数料は19,000円です。愛知県警察は、申請から40日前後で申請場所の警察署で交付されると案内しています。講習の受講や実務経験の年数は許可の条件に入っていないので、欠格事由に当たらず、書類と営業所の条件がそろえば、初めて中古車を扱う人でも申請できます。

中古車の査定に関する資格として、日本自動車査定協会の中古自動車査定士があります。こちらは研修と技能検定のある民間の制度で、古物商の許可とは別のものです。詳しくは中古自動車査定士とはで解説しています。

許可が下りない11項目の中身は古物商許可が取れない欠格事由11項目にまとめています。

古物の13品目と自動車の区分

古物の13品目とは、古物営業法施行規則第2条が定める古物の区分のことで、許可申請書には営業所ごとに取り扱う区分を書きます(古物営業法第5条第1項第3号)。13の区分は、美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自転車類、写真機類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類です。中古車販売店が選ぶのは4番目の「自動車(その部分品を含む。)」で、タイヤやホイール、ナビなど車の部分品もこの区分に入ります。バイクを扱うなら「自動二輪車及び原動機付自転車」を別に選びます。施行規則第14条は、自動車を扱う営業所の管理者に、車体や車台番号打刻部分の改造の有無を判定する知識などを得させるよう求めており、自動車は区分の中でも盗難車対策の要求がはっきり書かれた品目です。

番号 区分 例(施行規則の括弧書き)
1 美術品類 書画、彫刻、工芸品等
2 衣類 和服類、洋服類、その他の衣料品
3 時計・宝飾品類 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等
4 自動車 その部分品を含みます
5 自動二輪車及び原動機付自転車 これらの部分品を含みます
6 自転車類 その部分品を含みます
7 写真機類 写真機、光学器等
8 事務機器類 レジスター、計算機、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等
9 機械工具類 電機類、工作機械、土木機械、工具等
10 道具類 家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体等
11 皮革・ゴム製品類 カバン、靴等
12 書籍 書籍
13 金券類 商品券、乗車券、郵便切手等

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古物商・古物市場主・古物競りあっせん業者の違い

古物商、古物市場主、古物競りあっせん業者の違いは、営む営業の種類と、許可か届出かです。古物営業法第2条第2項は古物営業を3つに分けています。第1号は古物の売買や交換などの営業で、これを許可を受けて営むのが古物商です。第2号は古物市場、つまり古物商間の古物の売買又は交換のための市場を経営する営業で、許可を受けて営む人が古物市場主です。第3号はインターネットオークションのように、古物を売りたい人と買いたい人のあっせんを電子情報処理組織を使う競りの方法で行う営業で、これを営む人が古物競りあっせん業者です。古物商と古物市場主は第3条の許可が必要ですが、古物競りあっせん業者は許可制ではなく、営業開始の日から2週間以内に公安委員会へ届け出ます(第10条の2)。オートオークションの会場は古物商同士が売買する場なので、第14条第3項により古物市場では古物商間でなければ売買できません。

区分 営業の内容 手続き
古物商 古物の売買、交換、委託を受けての売買など 公安委員会の許可(第3条)
古物市場主 古物商間の売買や交換のための市場の経営 公安委員会の許可(第3条)
古物競りあっせん業者 電子情報処理組織を使う競りの方法による売買のあっせん 営業開始から2週間以内の届出(第10条の2)

中古車屋がオートオークションで仕入れるときの条件は古物商許可とオートオークション会員で解説しています。

古物商許可が要る取引と要らない取引

古物商許可が要る取引は、古物を買い取って売る、交換する、委託を受けて売るといった営業としての取引で、要らない取引は、自分が使っていた物を売るだけの場合などです。古物営業法第2条第2項第1号は、古物営業から「古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの」を除いています。自分の車を手放す、自分が売った車をその相手から買い戻す、といった取引だけなら古物営業にあたりません。一方、知人から買い取った車を売る、下取りした車を別の客に売る、委託を受けて客の車を売るといった取引を繰り返すなら許可が要ります。許可を受けないで古物営業を営むと、第31条により3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象です。他人の名義で営業させる名義貸しも第9条で禁じられ、同じ罰則がかかります。

  • 許可が要る例:中古車を買い取って販売する、下取り車を再販する、客の車を預かって委託販売する。
  • 許可が要らない例:自分が使っていた車を売る、自分が売った車をその買主から買い戻す。
  • 判断に迷う例:副業での少数の売買、知人の車の売却の手伝いなど。営業としての反復性で判断されるため、管轄警察署に相談します。

ケースごとの考え方は古物商許可なしで車を売るとどうなる?で解説しています。

古物商許可の取り方の要点

古物商許可の取り方の要点は、主たる営業所を決め、営業所ごとに管理者を選び、許可申請書と添付書類をそろえて、営業所を管轄する警察署へ出すことです。古物営業法第5条は、許可申請書に氏名又は名称と住所、営業所の名称と所在地、営業所ごとに取り扱う古物の区分、管理者の氏名と住所、行商をするかどうか、ホームページで取引する場合のURLなどを書くよう定めています。添付書類は古物営業法施行規則第1条の3が定め、個人の場合は最近5年間の略歴を記載した書面、住民票の写し、欠格事由に当たらないことの誓約書、市区町村長の証明書(身分証明書)が中心です。法人は定款と登記事項証明書に加えて役員全員分が要ります。手数料は警視庁、愛知県警察とも19,000円です。

  1. 営業所と車の保管場所を決めます(賃貸なら使用の承諾も確認します)。
  2. 管理者を選びます。個人で1人なら本人が兼ねるのが一般的です。
  3. 略歴書、誓約書、住民票の写し、身分証明書をそろえます。
  4. 許可申請書を書き、手数料を納めて警察署に出します。
  5. 許可が出たら標識を掲示し、古物台帳を用意して営業を始めます。

手順の全体は中古車販売に必要な古物商許可の取り方、略歴書や誓約書の記入は古物商の略歴書・誓約書・身分証明書の書き方で解説しています。

古物商が守る主な義務

古物商が守る主な義務は、標識の掲示、管理者の選任、取引相手の確認、帳簿等への記録と3年間の保存の4つです。古物営業法第12条は営業所ごとに公衆の見やすい場所へ標識を掲示するよう定め、第13条は営業所ごとに管理者1人を選任するよう定めています。第15条により、古物を買い受けるときなどは相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認する措置を取ります。第16条により、古物を受け取り又は引き渡したときは、取引の年月日、品目と数量、特徴、相手方の住所や氏名などを帳簿等に記録し、第18条により最終の記載をした日から3年間保存します。不正品の疑いがあると認めたときは、直ちに警察官に申告します(第15条第3項)。自動車は記録の項目が多いので、開業時から台帳の付け方を決めておくと日々の作業が楽になります。

義務 内容 条文
標識の掲示 営業所ごとに様式どおりの標識を掲示します。 第12条第1項
管理者の選任 営業所ごとに1人選びます。未成年者などはなれません。 第13条
相手方の確認 住所、氏名、職業、年齢を確認します。 第15条第1項
帳簿等への記録と保存 取引ごとに記録し、3年間保存します。 第16条、第18条

台帳の付け方は古物台帳の書き方、自分の許可番号の表示や確認方法は古物商の許可番号検索で解説しています。

まとめ

古物商とは、都道府県公安委員会の許可を受けて古物の売買、交換などの営業を営む人で、試験のある資格ではありません。許可の可否は古物営業法第4条の欠格事由11項目で判断され、申請先は主たる営業所を管轄する警察署、手数料は19,000円です。古物の区分は13品目あり、中古車販売店は「自動車(その部分品を含む。)」を選びます。古物市場主も許可制で、古物競りあっせん業者は届出制です。自分の物を売るだけなら許可は要りませんが、買い取って売る営業を無許可で営むと3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になります。

古物商に関するよくある質問

古物商は国家資格ですか?
古物商は試験に合格して取る資格ではなく、古物営業法第3条にもとづく都道府県公安委員会の許可です。試験や講習の修了は許可の条件に入っておらず、第4条の欠格事由に当たらないことなどが審査されます。
古物商の試験の難易度はどのくらいですか?
試験はありません。申請書と添付書類を主たる営業所を管轄する警察署に出し、審査を受けます。愛知県警察の案内では、申請から交付まで40日前後です。
古物の13品目のうち、中古車販売ではどれを選びますか?
古物営業法施行規則第2条の「自動車(その部分品を含む。)」を選びます。タイヤやホイールなどの部分品も含まれます。バイクも扱う場合は「自動二輪車及び原動機付自転車」もあわせて選びます。
古物商と古物市場主の違いは何ですか?
古物商は古物の売買や交換などを営み、古物市場主は古物商間の売買や交換のための市場を経営します。どちらも公安委員会の許可が必要です。古物市場では古物商間でなければ売買できません(古物営業法第14条第3項)。
許可を取らずに中古車を売るとどうなりますか?
古物の売買を営業として許可なく営むと、古物営業法第31条により3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になります。自分が使っていた車を売るだけなら古物営業にあたりません。
古物商許可を取った後、仕入れや販売の記録はどう管理しますか?
車ごとの仕入れ先、車台番号、売値、顧客の情報を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う店は自動車整備ソフトと車両データがつながるかも確認してください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。