中古車輸出の始め方|古物商許可・輸出抹消仮登録・通関・外為法の確認手順

中古車の輸出は、国内で仕入れた車を海外の買い手に売る商売です。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、中古車輸出の始め方を、古物商許可、輸出抹消仮登録と輸出予定届出証明書、税関での輸出通関、リサイクル料金の取戻し、消費税の輸出免税、外為法の確認の順に整理しました。国土交通省・軽自動車検査協会・税関・国税庁・自動車リサイクル促進センターの案内で、2026年10月24日時点の手続と手数料を確かめています。輸出先の国ごとの輸入規制は変わることが多いため、この記事では国別の中身を断定せず、確かめる手順だけを書きます。
この記事で確認した一次情報
- 中古自動車の輸出通関手続(税関カスタムスアンサー5502)輸出抹消仮登録証明書等の提出と確認
- 自動車の登録・検査の法定手数料変更について(国土交通省)2026年4月1日からの輸出抹消仮登録などの手数料
- 輸出予定届出証明書交付申請(軽自動車検査協会)軽自動車の輸出手続と手数料
- リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ(自動車リサイクル促進センター)輸出時の取戻しの期限と書類
- 輸出取引の免税(国税庁タックスアンサーNo.6551)輸出許可書の保存、2026年10月1日以後の追加書類
中古車輸出の始め方の全体像
中古車輸出の始め方は、国内で車を仕入れる許可をそろえ、運輸支局などで輸出のための抹消手続をし、税関で輸出の許可を受け、船に積んで買い手に引き渡す順番です。国内で他人から中古車を買い取るなら、古物営業法の古物商許可が要ります。登録自動車は運輸支局等で輸出抹消仮登録を受け、すでに一時抹消登録をしている車は輸出予定届出証明書を受けます。税関のカスタムスアンサー5502は、輸出申告の際にこれらの証明書を税関に出して確認を受ける必要があると案内しています。輸出が済んだら、預託されているリサイクル料金は輸出した日から2年以内に取戻しを申請できます。消費税は輸出免税の対象で、輸出許可書を7年間保存します。輸出先の国の輸入規制と、日本の外為法による輸出規制は、仕向け地を決めるたびに確かめます。
| 段階 | やること | 窓口 |
|---|---|---|
| 仕入れ | 古物商許可を取り、買取時に相手方を確認し、古物台帳に記録します | 営業所を管轄する警察署 |
| 抹消 | 登録車は輸出抹消仮登録、一時抹消済みの車は輸出予定届出証明書を受けます | 運輸支局等 |
| 軽自動車 | 輸出予定届出証明書の交付を受けます | 軽自動車検査協会 |
| 通関 | 輸出申告をし、証明書を出して確認を受けます | 税関(通関業者に頼むこともできます) |
| 輸出後 | リサイクル料金の取戻しを申請し、輸出許可書を保存します | 自動車リサイクル促進センター |
中古車輸出と古物商許可
中古車輸出でも、国内で他人から中古車を買い取って売るなら古物商許可が要ります。古物営業法第2条第2項第1号は、古物を売買し、交換し、又は委託を受けて売買し交換する営業を古物営業と定め、第3条で都道府県公安委員会の許可を受けることを求めています。売り先が海外の買い手であっても、仕入れが国内の古物の買取りである点は変わりません。許可の申請先は主たる営業所を管轄する警察署で、警視庁と神奈川県警察の案内では手数料は19,000円、標準処理期間は概ね40日です。買取りの際は第15条で相手方の住所、氏名、職業、年齢を確かめ、第16条で取引の年月日や古物の特徴などを帳簿に記録し、第18条で3年間保存します。自動車の記録は車検証から車台番号などを写します。
許可の取り方は中古車販売に必要な古物商許可の取り方、帳簿の書き方は古物台帳の書き方にまとめています。仕入れの経路は中古車の仕入れルートも参考になります。
輸出抹消仮登録と輸出予定届出証明書
輸出抹消仮登録とは、登録自動車を輸出する前に運輸支局等で受ける手続で、交付される輸出抹消仮登録証明書が税関での確認に使われます。すでに一時抹消登録をしている車を輸出する場合は、輸出予定届出証明書を受けます。東北運輸局の案内では、どちらも輸出予定日の6か月前から手続でき、輸出抹消仮登録には所有者の印鑑証明書(発行日から3か月以内)、自動車検査証、ナンバープレート、申請書などが要ります。手数料は2026年4月1日に改定され、国土交通省の資料では輸出抹消仮登録と輸出予定届出証明書が350円から500円になりました(OSSでの輸出抹消仮登録も500円)。輸出予定日を過ぎた場合や輸出をやめた場合は、証明書を返納する手続があります。
| 手続(2026年4月1日以後) | 対象の車 | 手数料 |
|---|---|---|
| 輸出抹消仮登録 | 登録中の普通車・小型車 | 窓口500円・OSS500円 |
| 輸出予定届出証明書 | 一時抹消登録済みの普通車・小型車 | 500円 |
| 輸出抹消仮登録証明書の返納 | 輸出をやめた、輸出予定日を過ぎた車 | 500円 |
| 輸出予定届出証明書交付申請(軽自動車検査協会) | 軽自動車 | 1件500円 |
軽自動車は軽自動車検査協会で輸出予定届出証明書の交付を受けます。同協会の案内では、一時使用中止の手続をした車は自動車検査証返納証明書と申請書(軽第4号様式の2)を、廃車と同時に輸出の手続をする車は自動車検査証の原本とナンバープレートと申請書を出します。輸出されなかった場合は、証明書の有効期間が過ぎてから15日以内に返納の届出をします(手数料なし)。
運輸支局のページには旧額の350円が残っているところがあります。手数料は国土交通省の2026年4月1日の改定表で確かめてください。
中古車輸出の通関手続
中古車輸出の通関手続では、税関に輸出申告をする際に、輸出抹消仮登録証明書か輸出予定届出証明書を出して確認を受けます。関税法第70条は、関税法以外の法令で輸出に許可や承認などが必要な貨物について、その旨を税関に証明して確認を受けなければ輸出を許可しないと定めており、中古自動車では道路運送車両法がこれに当たります。この確認は道路運送車両法の改正に伴って設けられた仕組みで、税関は盗難自動車の不正輸出の取締りも行っています。自動車登録ファイルに一度も登録されたことがない車は道路運送車両法の確認の対象外で、通関時にその旨を申し出ます。輸出申告と船積みの手配は、通関業者や海貨業者に頼むこともできます。頼む場合は書類の受け渡しの段取りを先に決めておくと、船の日程に間に合わせやすくなります。
- 税関に出す書類のほか、買い手向けのインボイス(送り状)、船会社の船荷証券(B/L)などをそろえます。
- 輸出申告をしなかった車は税関の「輸出取止め再輸入」の対象にならず、運輸支局への説明が必要になると税関は案内しています。
輸出した中古車のリサイクル料金と消費税
輸出した中古車のリサイクル料金は、所定の手続をすると取り戻せます。自動車リサイクル促進センターの案内では、取戻しの期間は輸出した日(税関長の輸出許可日又は輸出抹消登録日)から2年間です。申請書には、輸出された旨や輸出予定の旨が書かれた輸出抹消仮登録証明書などの写し、車台番号の入った輸出許可書の写し、車台番号の入った船荷証券か運送契約書の写しを付けます。「自動車」として輸出する必要があり、「解体自動車」として輸出した車は取戻しを申請できません。取戻しの手数料は、パソコン申請が1台210円+消費税、一般申請が1台464円+消費税です。消費税は、国税庁のタックスアンサーNo.6551で輸出取引として免税になり、輸出許可書を納税地等に7年間保存する必要があります。
国税庁は、2026年10月1日以後に行う輸出のうち、代金を現金で受け取る場合や、取引の相手以外の者から振込を受ける場合などは、輸出許可書に加えて、仕向け国の税関が発行する輸入許可書など輸入の事実を示す書類の保存も必要になると案内しています。銀行振込や荷為替手形での決済は対象外とされています。
国内で売るときのリサイクル料金の扱いは中古車のリサイクル料金と預託金、消費税の基本は中古車販売の消費税とインボイスで確認できます。
輸出先国の規制と外為法の確認手順
輸出先国の規制と外為法は、仕向け地と買い手が決まった時点で毎回確かめます。輸出先の国は、輸入できる車の年式、ハンドルの位置、船積み前の検査などを独自に定めていることがあり、改正も多いため、この記事では国別の中身を書きません。日本側では、外国為替及び外国貿易法(外為法)による輸出規制があります。経済産業省は、ロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出禁止措置として、2023年8月9日から排気量1,900ccを超える自動車やハイブリッド車、電気自動車などをロシア向けの輸出禁止の対象にしました。また、JETROの解説では、キャッチオール規制は、リスト規制品以外の貨物でも、用途や需要者に懸念がある場合や経済産業大臣から通知があった場合に許可が必要になる仕組みです。
- JETROの国別の貿易制度の情報で、輸入規制の項目を確かめます。
- 輸出先国の大使館や輸入者に、最新の輸入条件と必要書類を書面で確かめます。
- 経済産業省の安全保障貿易管理のページで、仕向け地に対する規制や禁止措置がないかを確かめます。
- 買い手の所在国と最終的な使い道を確かめ、懸念があれば経済産業省に相談します。
中古車輸出に関するよくある質問
- 中古車を輸出するだけなら古物商許可は要りませんか?
- 国内で他人から中古車を買い取って売るなら、売り先が海外でも古物商許可が要ります。古物営業法第2条は、古物の売買や委託を受けた売買を古物営業と定めています。自分で使っていた車を売るだけの場合は許可が要らないと大阪府警察は案内しています。
- 輸出抹消仮登録はいつからできますか?
- 東北運輸局の案内では、輸出予定日の6か月前から手続できます。手数料は2026年4月1日から500円です。予定日を過ぎたり輸出をやめたりした場合は、証明書を返納します。
- 輸出した車のリサイクル料金は戻ってきますか?
- リサイクル料金が預託された車を「自動車」として輸出した場合、輸出した日から2年以内に自動車リサイクル促進センターへ取戻しを申請できます。手数料はパソコン申請が1台210円+消費税、一般申請が1台464円+消費税です。
- どの国に中古車を輸出できるかは、どこで確かめればよいですか?
- 輸出先国の輸入条件はJETROの国別情報や大使館、輸入者に確かめます。日本側の規制は経済産業省の安全保障貿易管理の案内で確かめます。例えばロシア向けには、2023年8月9日から排気量1,900cc超の自動車などの輸出禁止措置があります。
- 輸出用の仕入れと国内販売の在庫を一緒に管理できますか?
- 車台番号、仕入れ値、抹消の手続の状況、売り先を1台ごとに記録できる車両販売システム(車販ソフト)を使うと、輸出用と国内用の在庫を同じ台帳で追えます。整備した車を国内で売るなら自動車整備ソフトとつながるかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。
- 税関 カスタムスアンサー5502 中古自動車の輸出通関手続:https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/extsukan/5502_jr.htm
- 税関 盗難自動車不正輸出の取締り:https://www.customs.go.jp/mizugiwa/tounan/tounan.htm
- 税関 カスタムスアンサー5501 税関で確認する輸出関係他法令の概要:https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/extsukan/5501_jr.htm
- 国土交通省 自動車の登録・検査の法定手数料変更について(令和8年4月1日):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001986066.pdf
- 東北運輸局 輸出抹消仮登録・輸出予定届出証明書:https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/am/am-sub02-007.html
- 軽自動車検査協会 輸出予定届出証明書交付申請:https://www.keikenkyo.or.jp/procedures/output/delivery_application.html
- 軽自動車検査協会 輸出予定届出証明書返納届出:https://www.keikenkyo.or.jp/procedures/output/return.html
- 自動車リサイクル促進センター リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ:https://www.jarc.or.jp/automobile/fee/timing/
- 自動車リサイクル促進センター 資金管理料金・輸出取戻し手数料:https://www.jarc.or.jp/automobile/designated-corp/fund/fundfee/
- 国税庁 タックスアンサーNo.6551 輸出取引の免税:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm
- 経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置(輸出貿易管理令の一部改正):https://www.meti.go.jp/press/2023/07/20230728001/20230728001.html
- JETRO 安全保障貿易管理(輸出管理):https://www.jetro.go.jp/user_info/export_control.html
- 古物営業法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- 大阪府警察 古物営業法Q&A:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/kyoninka/kobutsu/kobutsu/3685.html
