中古車の下取りの流れ|販売店の査定・価格の決め方・古物台帳と名義変更・税金の精算

中古車の下取りの流れ 査定、価格の決め方、本人確認と台帳、名義変更と精算

中古車の下取りとは、お客様が車を買い替えるときに、今乗っている車を販売店が買い取り、その代金を新しい車の購入代金に充てる取引です。販売店から見ると、下取りは古物の買い受けであり、仕入れの一つでもあります。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、販売店が下取りを受けるときの流れを、査定、下取り価格の決め方、古物営業法の本人確認と帳簿、名義変更、自動車税とリサイクル料金の精算の順に、法令と官公庁などの資料をもとに整理しました。

この記事で確認した一次情報

中古車の下取りとは

中古車の下取りとは、販売店が車を売るときに、お客様がそれまで使っていた車を引き取り、その評価額を新しい車の代金から差し引く取引です。買取が車を買うだけの取引なのに対し、下取りは販売と買い受けが一つの商談の中でセットになる点が違います。お客様にとっては、売却と購入の手続きを一つの店で済ませられ、新しい車の納車まで今の車に乗り続けられるのが利点です。販売店にとっては、下取り車がそのまま次の在庫や業販の商品になります。下取りも古物の買い受けです。そのため、古物営業法の本人確認と帳簿の記録が必要です。また、下取り車の価格と販売する車の値引きを混ぜて説明すると、お客様にはどちらにいくら付いたのかが分からなくなります。下取り車の評価額と、販売する車の支払総額は、注文書の上で分けて示します。

下取りの流れ

下取りの流れは、査定、価格の提示と合意、本人確認と書類の受け取り、帳簿への記録、車の引き取り、名義変更、税金とリサイクル料金の精算の順に進みます。販売する車の注文書と一緒に、下取り車の項目を同じ書類か別の書類で作るのが一般的です。引き取りのタイミングは、新しい車の納車と同じ日にすることが多く、お客様が乗り続ける期間に事故を起こしたり走行距離が増えたりすることもあるため、査定時の走行距離や状態を記録し、引き取り時に大きく変わった場合の扱いを決めておきます。名義変更は、道路運送車両法第13条により、所有者の変更から15日以内に新所有者が移転登録を申請します。下取り車を自店の在庫にするなら自店が、廃車にするなら抹消登録を行います。

  1. 下取り車を査定し、評価額を出します。
  2. 下取り価格をお客様に示し、注文書に販売車と分けて書きます。
  3. お客様の本人確認をし、名義変更に必要な書類を受け取ります。
  4. 古物台帳に取引の内容を記録します。
  5. 納車の日などに下取り車を引き取ります。
  6. 移転登録か抹消登録を行います。
  7. 自動車税、自賠責保険、リサイクル料金の扱いを精算します。

下取り車の査定

下取り車の査定とは、車の年式、走行距離、修復歴、内外装の状態、装備、車検の残りなどを確かめ、価格の根拠をつくる作業です。一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)は、中古自動車査定士の制度を運営し、協会が定めた査定基準と加減点基準で価格を出す方法を示しています。同協会は、査定価格は各社が定める基本価格から始まり、立地や販売政策で会社ごとに異なると説明しており、査定士の資格は価格そのものを決めるものではありません。それでも、加減点の根拠を書面で示せれば、お客様に「なぜこの金額なのか」を説明しやすくなります。修復歴や走行距離は、下取り車を自店で売るときに自動車公正取引協議会の規約に沿って表示する項目なので、査定の段階で正確に記録しておきます。冠水の跡、メーター交換の記録、改造の有無も、お客様に聞いて書面に残します。

査定士の資格と取り方は中古自動車査定士の資格と取り方で解説しています。

下取り価格の決め方

下取り価格は、その車を店がどう売るかで決まります。ここが出発点です。自店の展示場で小売するなら、想定する売値から整備費、清掃や仕上げの費用、展示期間の費用、利益を差し引いた額が上限です。業販やオートオークションに出すなら、業者間の相場から陸送費や手数料を差し引いた額が目安になります。廃車にするしかない車は、部品や資源としての価値と、解体までの費用で決まります。相場の数字は時期と地域で動くため、この記事では示しません。注意したいのは、新しい車の値引きを下取り価格に上乗せして見せる説明です。お客様は下取り車が高く売れたと受け取りますが、実際の支払いは変わらず、後で他店の評価と比べたときに不信を招きます。注文書には、販売車の支払総額と下取り車の評価額を別々に書き、差し引きの額を示します。

下取り車の行き先 価格の考え方
自店で小売する 想定売値から整備費、仕上げ費、展示期間の費用、利益を差し引きます
業販やオークションに出す 業者間の相場から陸送費や手数料を差し引きます(業販とは)
廃車にする 部品や資源の価値と、解体や抹消の費用で考えます

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下取りでの本人確認と古物台帳への記録

下取りでの本人確認と古物台帳への記録は、古物営業法で販売店に義務付けられています。同法第15条第1項は、古物を買い受けるときに相手方の真偽を確かめるため、住所、氏名、職業、年齢を確認するか、これらが書かれ本人が署名した文書を受け取るなどの措置をとるよう定めています。第16条は、取引の年月日、古物の品目と数量、特徴、相手方の住所、氏名、職業、年齢、とった確認の方法を帳簿に記録するよう求め、第18条は最終の記載から3年間の保存を定めています。自動車の特徴は、自動車登録番号又は車両番号、車名、車台番号、所有者の氏名又は名称を車検証から写します。盗難車の疑いがあれば、すぐに警察官へ申告します(第15条第3項)。なお、第15条第2項は、自店が売った車をその相手から買い戻す場合は確認を省略できるとしており、第16条もこの場合の帳簿の記録を求めていません。

  • 運転免許証などで住所、氏名、年齢を確かめ、職業を聞き取ります。
  • 車検証の所有者と来店したお客様が同じ人かを確かめます。
  • 所有者欄が信販会社や販売店になっている車は、所有権の解除の手続きが必要です。
  • 帳簿は最終の記載から3年間保存します(古物台帳の書き方)。

下取り車の名義変更

下取り車の名義変更は、所有者の変更があった日から15日以内に移転登録を申請します(道路運送車両法第13条)。手数料は道路運送車両法関係手数料令で1両700円(電子申請は600円)です。普通車の場合、お客様から受け取る書類は、自動車検査証、譲渡証明書、印鑑証明書、委任状、リサイクル券などで、車検証の住所や氏名が印鑑証明書と違う場合は、つながりを示す住民票などが追加で必要です。軽自動車は軽自動車検査協会で手続きし、軽自動車の自動車検査証記録事項の変更(名義変更)は手数料が無料です。名義変更が遅れると、駐車違反や事故の通知、翌年度の自動車税の納税通知書が元のお客様に届き、トラブルの原因になります。手続きの手順は中古車の名義変更と移転登録で解説しています。

下取り時の自動車税の精算

下取り時の自動車税の精算は、販売店とお客様の間の取り決めです。法律上の還付ではありません。自動車税は4月1日時点の所有者に1年分が課税され、東京都主税局は、年度の途中で名義変更をしても、その年度の自動車税は4月1日時点の所有者に課税されると説明しています。名義変更では月割りの還付はなく、還付があるのは抹消登録をした場合で、普通車は抹消登録をした月の翌月から月割で減額されます。軽自動車税には月割りがありません。そのため、下取り車をそのまま在庫にする場合、未経過分の自動車税相当額をお客様に払うかどうかは、下取り価格の中で決めます。国税庁の質疑応答事例は、中古車の販売で未経過分の自動車税相当額を区分して示しても、車両代金の一部として消費税の対象に含まれるとしています。東京都では、4月1日時点で販売業者が所有し展示している中古商品自動車について、自動車税の12分の3の減免の制度があります。

場面 自動車税の扱い(東京都主税局ほか)
年度の途中で名義変更 その年度分は4月1日時点の所有者に課税。月割りの還付はありません
普通車の抹消登録 抹消登録の翌月から月割で減額されます
軽自動車 軽自動車税は月割りがありません
未経過分をお客様に払う場合 下取り価格の中で決めます。消費税は車両代金の一部として扱われます
4月1日時点の在庫車(東京都) 中古商品自動車の減免(年税額の12分の3)を申請できる場合があります

環境性能割は2026年3月31日で廃止されています。精算書や注文書に廃止された税の欄が残っていないか確認してください。

下取り時のリサイクル料金の精算

下取り時のリサイクル料金の精算では、販売店が、リサイクル券に書かれた預託金相当額をお客様に支払います。自動車リサイクル促進センターは、自動車ユーザーが中古車を販売店などに引き渡すとき、相手方から車両価値の金額とリサイクル料金相当額を受け取ると説明しています。ただし、リサイクル料金のうち資金管理料金は、最初にリサイクル料金を支払った人の負担になるため、受け取る額から除かれます。預託済みの車を譲渡するときは、リサイクル券も車と一緒に引き渡します。消費税については、国税庁の質疑応答事例が、リサイクル預託金相当額は預託金という金銭債権の譲渡で非課税だとしています。下取り価格の中に含めてしまうと課税と非課税の区分が分からなくなるため、精算書では車両の評価額と預託金相当額を分けて書きます。詳しくは中古車のリサイクル料金(預託金)の扱いで解説しています。

下取りと消費税のインボイス

一般のお客様からの下取りでは、インボイスは受け取れませんが、古物商は帳簿の保存だけで仕入税額控除を受けられる特例があります。国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問106は、古物営業法の許可を受けた古物商が、適格請求書発行事業者以外の者から棚卸資産に当たる古物を買い受けた場合を、帳簿のみの保存で控除できる取引としており、中古車販売業を例に挙げています。この特例には、帳簿に書く事項についての要件があるため、Q&Aで確かめてから帳簿の様式を決めます。古物台帳の記録と会計の帳簿をそろえておくと、税務の確認にも対応しやすくなります。特例の要件は中古車販売の消費税とインボイスで解説しています。

まとめ

中古車の下取りは、販売と買い受けを一つの商談で行う取引で、販売店にとっては古物の買い受けであり仕入れでもあります。査定で状態を記録し、下取り価格は店がその車をどう売るかで決め、販売車の支払総額とは分けて注文書に書きます。古物営業法第15条の本人確認と第16条の帳簿の記録が必要で、帳簿は3年間保存します。名義変更は15日以内に移転登録を申請し、手数料は1両700円です。自動車税は4月1日時点の所有者に課税され、名義変更では還付がないため、未経過分の扱いは下取り価格の中で決めます。リサイクル料金は資金管理料金を除いた預託金相当額を支払い、消費税は非課税です。

中古車の下取りに関するよくある質問

下取りでも古物台帳への記録は必要ですか?
必要です。下取りは古物の買い受けに当たるため、古物営業法第15条の本人確認と第16条の帳簿への記録を行い、最終の記載から3年間保存します。自店が売った車をその相手から買い戻す場合は、確認と記録を省略できます。
下取り車の自動車税は月割りで返ってきますか?
名義変更では返ってきません。東京都主税局によると、自動車税は4月1日時点の所有者に1年分が課税され、年度途中の名義変更では還付はありません。普通車を抹消登録した場合は、翌月から月割で減額されます。未経過分をお客様に払うかどうかは、下取り価格の中で決めます。
下取り車のリサイクル料金はどう扱いますか?
販売店が、リサイクル券に書かれた預託金相当額から資金管理料金を除いた額をお客様に支払います。リサイクル券も車と一緒に受け取ります。消費税は非課税です。
ローンが残っている車は下取りできますか?
車検証の所有者欄が信販会社や販売店になっている場合は、所有権の解除の手続きが必要です。残債の扱いと所有権解除の書類について、所有者になっている会社に確認してから下取りの手続きを進めます。
名義変更はいつまでに行いますか?
道路運送車両法第13条により、所有者の変更があった日から15日以内に新所有者が移転登録を申請します。手数料は1両700円(電子申請は600円)です。軽自動車の名義変更は軽自動車検査協会で行い、手数料は無料です。
下取りの記録と販売の記録をまとめて管理するにはどうすればよいですか?
販売車の注文書と下取り車の査定、評価額、古物台帳の記録を1か所で扱える車両販売システム(車販ソフト)を使うと、下取り車を在庫に回したときの原価も追えます。整備部門がある店は、自動車整備システムと車両の情報がつながるかも確認してください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。