修復歴の定義と中古車の修復歴表示|骨格8部位・事故歴との違い・仕入れ時の確認

中古車の修復歴の定義と表示 骨格8部位・事故歴との違い・仕入れ時の確認

中古車を売るとき、プライスボードや広告には「修復歴の有無」を書く決まりがあります。ところが、修復歴の定義を「事故に遭った車」と覚えていると、表示を誤ってお客様とのもめごとになります。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、修復歴の定義(業界基準の骨格8部位)、修復歴と事故歴・修理歴の違い、表示の義務、仕入れ時の確認方法を、自動車公正取引協議会(公取協)の規約集と案内資料で確かめてまとめました。修復歴の判断は日本自動車査定協会(日査協)の基準に基づくため、その内容にも触れます。

この記事で確認した一次情報

中古車の修復歴の定義

中古車の修復歴とは、車体の骨格に当たる部位を修正したり交換したりして元に戻した履歴のことです。公取協の自動車公正競争規約の中古車に関する施行規則第14条は、修復歴を「車体の骨格に当たる部位を修正及び交換することにより復元されたもの」と定め、その部位として、フレーム(サイドメンバー)、クロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー(フロント、センター及びリア)、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロアパネルの8つを挙げています。判断の細かな基準は、日本自動車査定協会の「中古自動車査定基準」と「修復歴判断基準」に基づきます。公取協の2019年3月26日の案内によると、この基準は公取協、日査協、日本オートオークション協議会の3団体で同じものとされています。

骨格の部位(施行規則第14条) 修復歴とするものの例(日査協の判断基準一覧より)
フレーム(サイドメンバー) 交換されているもの、曲がりや凹み又はその修理跡があるもの
クロスメンバー 交換されているもの、曲がりや凹み又はその修理跡、亀裂があるもの
フロントインサイドパネル 交換されているもの、外部や外板を介して波及した凹み又はその修理跡があるもの
ピラー(フロント・センター・リア) 交換されているもの、スポット溶接の打ち直しがあるもの、波及した凹み又はその修理跡があるもの
ダッシュパネル 交換されているもの、外部や外板を介して波及した凹み又はその修理跡があるもの
ルーフパネル 交換されているもの、周囲のインナー部に凹みや曲がり又はその修理跡があるもの
フロアパネル 交換されているもの、接合部のはがれや修理跡、破れ(亀裂)があるもの
トランクフロアパネル 交換されているもの、接合部のはがれや修理跡、破れ(亀裂)があるもの

部位ごとの細かな除外の条件(小さな凹み、突き上げによる凹みなど)は日査協の判断基準一覧に載っています。表の文言は要約なので、判定するときは原文を見てください。

修復歴の判断基準とカードサイズ(2019年4月の変更)

修復歴の判断基準は、2019年4月1日に日査協の基準が一部変わりました。公取協の案内によると、変更は2つです。1つ目は、フロントクロスメンバーの定義が「左右サイドメンバーに溶接されているもの」から「左右サイドメンバーに直接溶接されているもの(間接接合は除く)」に変わったことです。2つ目は、損傷の大きさの基準で、それまでの「軽微なもの(500円玉程度)」から「小さなもの(カードサイズ未満)」に改められ、全ての骨格部位で損傷などの大きさがカードサイズを超えた場合には修復歴と判定することになりました。古い解説には500円玉の基準が残っていることがあるため、社内の検査表を作るときは日付を確かめます。判断に迷う損傷は、日査協の基準に通じた中古自動車査定士に見てもらうと判断がそろいます。

中古自動車査定士の資格は中古自動車査定士の資格と取り方にまとめています。

修復歴と事故歴・修理歴の違い

修復歴と事故歴・修理歴の違いは、骨格の部位に手が入っているかどうかです。修復歴は施行規則第14条の8部位を修正又は交換した履歴に限られます。事故に遭った車でも、バンパーやドア、フェンダー、ボンネットなど骨格以外の部品を交換しただけなら、8部位に入らないため修復歴には当たりません。逆に、事故以外の理由で骨格を修正した車は修復歴に当たります。公取協が定める展示車の必要表示事項11項目には「修復歴の有無」があり、「事故歴」という項目はありません。修理歴も同じで、表示の義務は修復歴について定められています。ただし、お客様は「事故車かどうか」を気にして尋ねることが多いため、骨格以外の修理も分かっている範囲で説明すると、後の行き違いを減らせます。

言葉 中身 公取協の表示事項
修復歴 骨格8部位を修正又は交換して復元した履歴です 「有」「無」の表示が必要です
事故歴 事故に遭った履歴です。骨格に及ばない事故も含みます 表示事項の項目にはありません
修理歴 骨格以外の部品の交換や鈑金塗装などの履歴です 表示事項の項目にはありません

骨格の修正そのものの作業や設備は、鈑金塗装の側の話になります。フレーム修正機の選び方(自動車鈑金塗装のスタート支援)で扱っています。

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中古車の修復歴の表示義務

中古車の修復歴の表示義務は、景品表示法に基づく自動車公正競争規約で定められています。規約第11条は、販売業者が店頭に展示する中古車や広告に、修復歴の有無を表示することを求めており、施行規則第15条は、修復歴がある場合は「有」、ない場合は「無」と表示すると定めています。修復歴がある車は、規約第12条により修復歴の部位を書面で示します(広告では、施行規則により「修復歴の部位については尋ねられたい旨」の付記で代えることもできます)。さらに規約第14条第6号は、修復歴があるにもかかわらずその旨を表示しないことで、修復歴がないかのように誤認されるおそれのある表示を不当表示として禁じています。公取協のコンシューマーレポートでは、2年前に「修復歴なし」で売った車に、買取査定で車体後部の修復歴が見つかった販売店の相談事例を紹介しています。

  • プライスボードの修復歴の欄は空欄にせず、「有」か「無」を書きます。
  • 「有」の場合は、コンディションノートなどで修復した部位を示します。
  • 修復歴に当たる部位に損傷が残っている車は、修復したうえで修復歴車として表示するよう公取協は求めています。
  • 冠水車であることを表示しないことも、規約第14条第7号で不当表示とされています。

プライスボードのほかの表示事項は中古車の支払総額表示のルール、公取協の役割と入会の手続きは自動車公正取引協議会(公取協)とはで確認できます。

仕入れ時に修復歴を確認する方法

仕入れ時に修復歴を確認する方法は、出品票や前の持ち主の申告をうのみにせず、入庫したときに自店でも骨格8部位を見ることです。公取協のコンシューマーレポートの事例では、オークションで仕入れた車に評価点が付いていたため修復歴を十分に確かめず、「修復歴なし」で売ってしまったことが原因とされ、仕入・入庫時に修復歴がないかを必ずチェックするよう呼びかけています。確認の結果は、車台番号ごとに記録として残します。売った後に修復歴が見つかった場合、事例ではキャンセルによる全額返金のほか、使用料や価値落ち分の負担を話し合いで決める方法が挙げられています。契約書と記録がそろっていれば、こうした話し合いも進めやすくなります。

  1. オークションの出品票や下取りの査定票で、修復歴の記載と部位を確かめます。
  2. 入庫時に、ボンネットやトランク、ドアの開口部から見える骨格部位を点検します。
  3. 判断に迷う損傷は、査定士や提携する鈑金工場に見てもらいます。
  4. 点検の日付、見た人、結果を車台番号ごとに記録します。
  5. 表示の「有」「無」と部位を決めてから、プライスボードと広告に載せます。

オークションでの仕入れはオートオークションの会員になるには、売った後の保証の付け方は中古車の保証の付け方にまとめています。

中古車の修復歴に関するよくある質問

バンパーやドアを交換した車は修復歴ありですか?
バンパー、ドア、フェンダー、ボンネットは、施行規則第14条の骨格8部位に入っていないため、それだけの交換なら修復歴には当たりません。交換の際に骨格部位にも修正や交換が及んでいれば修復歴になります。
事故歴は表示しなくてよいのですか?
公取協の展示車の必要表示事項11項目に「事故歴」はなく、表示が求められているのは「修復歴の有無」です。お客様に尋ねられたら、分かっている修理の内容を正直に伝えます。
どのくらいの損傷から修復歴になりますか?
2019年4月1日からの日査協の基準では、全ての骨格部位で、損傷などの大きさがカードサイズを超えた場合に修復歴と判定します。それ以前の「500円玉程度」の基準は使いません。
修復歴があるのに「なし」と表示したらどうなりますか?
規約第14条第6号の不当表示に当たります。公取協の会員であれば、規約に基づく警告や違約金などの措置の対象になります。お客様からは契約の解除や代金の減額を求められることもあります。
仕入れた車の修復歴や点検記録を、販売まで1台ずつ残すには?
車台番号ごとに仕入れの出品票、点検の結果、表示の内容を記録できる車両販売システム(車販ソフト)を使うと、売った後に問い合わせがあっても記録をすぐに出せます。整備の記録も残すなら自動車整備システムとつながるかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。