中古車の保証の付け方|保証付きの表示ルールと保証書の書き方、自社保証と保証会社

中古車の保証の付け方 保証付きの表示条件と保証書の10項目を公取協の規約で確認

中古車の保証は、付けるかどうかは販売店が決められますが、付ける場合も付けない場合も、表示の仕方には業界のルールがあります。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、「中古車の保証の付け方」を扱います。保証付きの表示条件と保証書の10項目を公取協の規約で確認し、自社保証と保証会社の保証をどう使い分けるか、メーカー保証継承をどう説明するかまで、自動車公正取引協議会(公取協)の規約集と広告表示FAQをもとに整理します。

この記事で確認した一次情報

中古車の保証の表示義務と公正競争規約

中古車の保証の表示は、自動車公正競争規約で決められています。公正競争規約とは、景品表示法第36条に基づき、公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けて、事業者や事業者団体が表示や景品類について自主的に定める業界のルールです(消費者庁)。中古車の規約では、販売価格の近くに表示する必要表示事項の一つとして「保証の有無」があり、公取協の「中古車に関する規約のポイント」は、保証に要する費用が車両価格に含まれる場合は「保証付き」、それ以外は「保証なし」と表示し、保証付きの場合は保証内容と保証期間又は保証走行距離数を表示すると説明しています。保証の内容によって同じ支払総額でも商品の価値が変わるため、公取協は保証の有無と内容を価格や品質に関わる重要事項と位置づけています。

規約上の表示条件(施行規則第11条)あわせて行うこと
保証付き販売業者又は製造業者の保証の費用が車両価格に含まれ、保証書が付いている保証の内容と保証期間又は保証走行距離数を付記。購入者に保証書を交付し、満了日まで写しを保存
保証なし保証の費用が車両価格に含まれていない有償で保証を付けられる場合や、新車保証の継承に点検整備費用が要る場合はその旨を表示

保証費用を車両価格に含めるという条件は、2023年10月1日に施行された支払総額表示とも結びついています。公取協の支払総額の解説では、保証や定期点検整備を必ず付けて売る場合、その費用は車両価格に含めて表示するとされ、必ず付帯する保証の費用を諸費用として別に請求することは「請求できない費用」に挙げられています。

保証付きと表示するときの保証内容と期間の書き方

保証付きと表示するときに書く「保証内容」とは、保証の対象となる部分や免責内容のことです。公取協の広告表示FAQは、保証の種類ごとに書き方を示しています。内外装、油脂類、消耗品を除く部分を対象にした一般的な中古車保証は、保証の名称か「部分保証」と表示し、「1年間又は走行無制限」のように期間と距離を添えます。メーカー(新車)保証を付ける場合は「メーカー保証」や「新車保証」と表示し、期間と距離が初度登録からのものであることを明瞭に示します。エンジンのみの保証のように対象部位が著しく限定されている場合や、工賃や部品代が有料になる場合は、その制限を明瞭に表示しなければなりません。表示しないと、保証内容を実際より有利に見せる不当表示に当たります。

保証の種類(公取協FAQ)表示の例注意する点
一般的な中古車保証保証付き 部分保証 1年間又は走行無制限保証の名称か「部分保証」を書く
メーカー保証を継承する車メーカー保証付き 一般保証:初度登録から3年又は6万km初度登録からの期間であることを明示。継承に要る点検整備費用は車両価格に含める
特別な制限のある保証保証付き エンジンのみ保証対象の限定や有料となる費目を明瞭に表示

車によって保証の期間や距離が違う店は、「全車保証付き」とだけ書いて商談で説明する方法は使えません。公取協のFAQは、掲載車両ごとに保証内容と期間又は距離を表示するよう求め、広告の場所が足りないときは「保証A」「保証B」のようなマークと、その説明を併記する方法を例に挙げています。

公取協が2018年12月に出した消費者向け注意喚起では、「500部品の保証」と広告しながら実際の保証範囲はエンジンの数部品のみで、保証額の上限も数万円だったという事例が紹介されています。保証の範囲と上限額は、広告、プライスボード、保証書で同じ内容にそろえてください。

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中古車の保証書の書き方(作成要領の10項目)

中古車の保証書とは、販売業者又は製造業者が、一定の条件の下で一定期間内に発生した故障について、主として無償修理することなどを書いた書面です(施行規則第11条)。保証書を作る事業者は、公取協の定める「中古自動車保証書作成要領」に基づいて作成し、購入者に交付した日から保証満了日までの間、写しを保存します。作成要領が明りょうに記載するよう求めている事項は次の10項目です。保証会社の商品を使う場合でも、お客様に渡す書面にこれらが載っているかを販売店が確認しておくと、納車後に「保証の対象だと聞いた」「対象外だ」という争いになりにくくなります。公取協の消費者向けマニュアルにも、ミッションが保証の対象かどうかで争いになり、保証書がないために水掛け論になった相談例が載っています。

作成要領の項目書く内容
1 保証書である旨「保証書」「保証証券」「整備保証書」などの名称
2 車名、型式、登録番号又は車台番号自動車検査証に記載された内容
3 保証者の氏名又は名称、住所、電話番号保証書の内容に最終的に責任を負う事業者
4 無料修理等の実施者保証者と実施者が異なる場合の実施者の氏名、住所、電話番号
5 保証期間始期と終期。走行距離で区切る場合は積算走行距離数。部分ごとに違えば部分ごとに
6 保証の態様無料修理、部品取替えなど保証者が採る修理の方法
7 保証の対象となる部分全部の保証か部分保証か。部分保証なら対象又は対象外の部分
8 適用除外保証期間内でも無料修理を受けられない場合を具体的に
9 消費者の費用負担部品代や工賃の一部、出張料などが有料となる場合の費目
10 保証を受けるための条件又は手続き保証書の提示、定期点検の履行など消費者が行う事項

自社保証と保証会社の保証の違い

中古車の保証には、販売店が自ら保証者になる自社保証と、保証会社の商品を販売店が取り次ぐ保証があります。作成要領の項目3と4は、保証書の内容に最終的に責任を負う「保証者」と、実際に無料修理を行う「実施者」を分けて書くよう求めています。自社保証なら両方が自店になり、保証会社を使うなら保証者が保証会社、実施者が自店や提携工場になる形が考えられます。どちらの形でも、規約上「保証付き」と表示できるのは、保証の費用を車両価格に含めた場合だけです。費用を別に受け取る販売店は、「保証なし」と表示したうえで有償保証がある旨を示します。整備工場を持たない店は、遠方のお客様の故障をどこで直すかを先に決めておく必要があります。

比べる点自社保証保証会社の保証
保証書の保証者(作成要領3)自店保証会社
無料修理の実施者(作成要領4)自店の工場や提携工場保証会社の指定工場や自店
修理費の負担自店が負う保証会社の規定の範囲で保証会社が負う
保証内容の自由度自店で決められるが、作成要領と表示ルールに合わせる商品ごとに決まった範囲から選ぶ
表示上の扱い費用を車両価格に含めれば保証付き同じ。別料金なら保証なしと表示し有償保証がある旨を示す

消費者契約法との関係も押さえておきます。第8条第1項は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項などを無効としています。同条第2項は、引き渡した物が契約の内容に適合しない場合について、販売店が修補(履行の追完)や代金減額の責任を負うと定めている場合や、販売店が委託した他の事業者が修補などの責任を負う契約が先に又は同時に結ばれている場合には、第1項を適用しないとしています。保証会社を使う場合も、保証書と注文書で責任の所在を明確にしておくことが基本です。

メーカー保証継承の説明と保証の勧め方

メーカー保証継承とは、新車時のメーカー保証が残っている中古車について、所定の手続きで次の所有者が保証を引き継ぐことです。公取協が2019年6月5日に会員向けに出した資料によると、説明すべき内容は三つあります。一つ目はメーカー保証の内容で、一般保証と特別保証の対象、残りの期間と走行距離です。二つ目は継承の条件で、違法な改造やメーカー純正以外の部品を使っていないこと、保証書があることです。三つ目は手続きで、購入者の名義に変えた後、メーカー系列の販売店で12か月点検相当の点検を受けることです。同じ資料には、保証継承できないと言われて販売店の保証を付けたが、後で少ない費用で継承できると知ったという相談例が載っています。販売店の保証や保証会社の保証を勧めるときは、継承の説明をしたうえで、お客様が選べるようにすることが求められています。

継承できる車を「保証付き」と表示するなら、継承に必要な定期点検整備の費用を車両価格に含め、保証期間が初度登録からのものであることを示します(公取協FAQ)。費用を含めない場合は「保証なし」と表示し、新車保証の継承のために点検整備費用が必要な旨を表示します(施行規則第11条)。

公取協が2025年7月25日に公表した措置では、「保証付」と表示しながら保証の費用を別に請求したことが規約違反とされました。同じ公表で、公取協は年間5,500件程度の消費者相談を受けており、多くは中古車に関するものだと説明しています。

開業前に決めておく保証の方針

開業前に保証の方針を決めておくと、プライスボード、広告、注文書、保証書の内容を最初からそろえられます。決める順番は、保証を全車に付けるか、車ごとに選ぶか、保証なしで売る車を設けるかという範囲の判断が先です。次に、自社保証にするか保証会社を使うかを決め、保証期間と距離、対象部位、有料となる費目を具体的に書き出します。そのうえで、保証付きの車は保証費用を車両価格に含めて支払総額を計算し、保証なしの車は有償保証がある旨を表示します。保証書の写しは保証満了日まで保存するので、保管の方法も決めておきます。保証のコストは利益率に直接響くため、仕入れ値と売値の計画と合わせて考えてください。

  • 保証付きにする車の範囲と、保証の名称、期間、距離、対象部位を決めた。
  • 保証費用を車両価格に含めた支払総額を計算した。
  • 保証書が作成要領の10項目を満たしているかを確認した。
  • メーカー保証継承の可否を仕入れ時に確認し、説明の手順を決めた。
  • 保証書の写しを保証満了日まで保存する方法を決めた。

利益への影響は中古車販売の利益率、開業費用の見積もりは中古車屋の開業資金、仕入れ時の車両確認は中古車の仕入れルートで扱っています。

まとめ

中古車の保証は付けるかどうかを販売店が選べますが、表示は自動車公正競争規約に従います。「保証付き」と表示できるのは、保証の費用が車両価格に含まれ、保証書が付いている場合です。保証付きなら保証内容と保証期間又は保証走行距離数を付記し、エンジンのみなど対象が限定される保証はその旨を明瞭に表示します。保証書は公取協の作成要領の10項目に沿って作り、交付した日から保証満了日まで写しを保存します。自社保証と保証会社の保証は、保証者と実施者の欄で責任の所在を分けて書きます。メーカー保証を継承できる車は、継承の内容、条件、手続きを説明したうえで、販売店の保証を選ぶかどうかをお客様に決めてもらいます。

中古車の保証の付け方に関するよくある質問

中古車に保証を付けるのは義務ですか?
保証を付けること自体は義務ではありません。自動車公正競争規約が求めているのは、保証の有無を「保証付き」又は「保証なし」と価格の近くに明瞭に表示することです。保証付きと表示する場合は、保証の内容と保証期間又は保証走行距離数を付記し、購入者に保証書を交付します。
「保証付き」と表示できるのはどんな場合ですか?
自動車公正競争規約の施行規則第11条では、販売業者又は製造業者の保証に要する費用が車両価格に含まれ、保証書が付いているものを「保証付き」としています。保証の費用を別に請求するなら「保証付き」とは表示できず、「保証なし」と表示したうえで有償で保証を付けられる旨を示します。
保証書には何を書けばよいですか?
公取協の中古自動車保証書作成要領に沿って、保証書である旨、車名と型式と登録番号又は車台番号、保証者の氏名と住所と電話番号、無料修理等の実施者、保証期間、保証の態様、保証の対象となる部分、適用除外、消費者の費用負担、保証を受けるための条件又は手続きの10項目を書きます。
エンジンだけを保証する場合、どう表示すればよいですか?
公取協の広告表示FAQでは、保証の対象部位が一般的な中古車保証に比べて著しく限定されている場合や、工賃や部品代が有料となる場合は、その旨を明瞭に表示するよう求めています。表示しないと、保証内容を実際より有利に見せる不当表示に当たります。
「現状渡し、保証なし」なら納車後の不具合に一切対応しなくてよいですか?
一切の責任を免れるとは言えません。消費者契約法第8条は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項などを無効としています。保証なしで売る場合でも、修復歴や要整備箇所などの車両状態を書面で伝え、注文書に残しておくことが重要になります。
中古車販売を始めるとき、車両や顧客の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

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