古物商許可に更新はある?有効期限と廃業時の返納、取消しと失効の条件

古物商許可の更新と返納 有効期限の有無、廃業や死亡時の返納、取消しと失効の条件を整理

古物商許可には有効期限がなく、運転免許のような更新手続きもありません。そのかわり、廃業や死亡、合併などで営業が終わるときには許可証の返納が義務づけられており、長く営業しないと取消しの対象にもなります。この記事は古物商許可ガイドの一つとして「古物商許可の更新と返納」を扱い、有効期限の有無、廃業や死亡時の返納、取消しと失効の条件を整理します。中古車販売店の開業前後で確認しておきたい規定を、古物営業法、施行規則、警察庁の解釈運用基準、警視庁の手続案内にもとづいて説明します。

この記事で確認した一次情報

古物商許可の有効期限と更新制度

古物商許可の有効期限は定められておらず、更新の制度もありません。e-Gov法令検索で古物営業法の本則を確認すると、許可(第3条)、許可の基準(第4条)、許可の手続と許可証(第5条)、許可の取消し(第6条)、変更の届出(第7条)、許可証の返納等(第8条)は置かれていますが、許可の有効期間や更新を定めた条文はありません。「有効期間」という語が出てくるのは、昔の行商許可の扱いを定めた附則の経過措置だけです。つまり、2026年に受けた許可は、返納するか取り消されるまで効力が続きます。一方で、許可を受けた後に何もしなくてよいわけではありません。営業所の名称や所在地を変えるときは事前に、住所、代表者、役員、管理者などが変わったときは事後に届け出る義務があり、怠ると罰金の対象になります。

手続き必要になる場面期限と手数料(警視庁)
変更届出(事前)営業所の名称、所在地の変更、新設、廃止変更の日の3日前まで、手数料なし
変更届出(事後)氏名、住所、代表者、役員、管理者、行商の有無、URLなどの変更変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付する場合は20日以内)
書換申請変更した事項が許可証の記載事項に当たるとき変更届出と同時、手数料1,500円
再交付申請許可証をなくした、焼失したとき速やかに、手数料1,300円

変更届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、古物営業法第35条第1号により10万円以下の罰金の対象です。手続きの詳細は「古物商の変更届と書換申請」で解説しています。

古物商許可の返納が必要になる場合

古物商許可証の返納が必要になるのは、古物営業法第8条に定められた5つの場合です。第1項は、許可証の交付を受けた者自身が返納する場合として、古物営業を廃止したとき、許可が取り消されたとき、再交付を受けた後に亡くした許可証を見つけたときの3つを挙げています。第3項は、本人が返納できない場合として、死亡したときは同居の親族又は法定代理人が、法人が合併により消滅したときは合併後に存続する法人又は合併で設立された法人の代表者が返納すると定めています。いずれも「遅滞なく」返納するとされ、施行規則第7条が期限を事由の発生の日から10日以内と具体的に定めています。返納は主たる営業所の所在地の所轄警察署長を経由して行い、別記様式第9号の返納理由書を許可証とともに提出します。

返納の事由返納する人根拠
古物営業を廃止したとき許可を受けた本人(法人はその法人)法第8条第1項第1号
許可が取り消されたとき許可を受けた本人(法人はその法人)法第8条第1項第2号
再交付後に亡くした許可証を見つけたとき許可を受けた本人(見つけた許可証を返納)法第8条第1項第3号
本人が死亡したとき同居の親族又は法定代理人法第8条第3項第1号
法人が合併により消滅したとき存続法人又は新設法人の代表者法第8条第3項第2号

警視庁の「返納届出」のページによると、提出先は主たる営業所を管轄する警察署の防犯係で、手数料はかかりません。必要書類は返納理由書と許可証で、URLを届け出ていた古物商は別記様式第6号その3も出します。

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廃業、死亡、法人解散のときの返納期限と届出者

廃業や死亡で古物商をやめるときの返納期限は、どの場合も事由が生じた日から10日以内です(施行規則第7条)。個人事業主が中古車販売をやめたときは本人が、会社が古物営業をやめたときは会社が返納します。個人事業主が亡くなったときは、同居の親族又は法定代理人が返納者になります。会社が吸収合併で消滅したときは、存続会社の代表者が消滅会社の許可証を返納します。警察庁の解釈運用基準は、古物営業許可は対人許可であるため、消滅会社の許可を存続会社は承継できないと説明しています。罰則も届出者によって異なり、本人が返納を怠ると古物営業法第35条第2号により10万円以下の罰金、死亡や合併の場合の返納者が怠ると第39条により5万円以下の過料の対象です。

  • 個人の廃業では、許可証の返納とは別に、国税庁の「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に出します。国税庁の案内では、提出期限は廃止した年分の所得税の確定申告期限までです。
  • 会社が解散して清算する場合に、古物商許可証の返納を誰の名前で行うかは、古物営業法第8条第3項に明示がありません。清算の手続きに入る前に、主たる営業所を管轄する警察署の防犯係に確認してください。
  • 会社分割(新設分割)で新会社に古物営業を移す場合、解釈運用基準は、新会社が新規に許可を受け、分割元の会社は古物営業を廃止したら遅滞なく許可証を返納するとしています。

古物商許可の取消しと営業停止

古物商許可の取消しには、公安委員会が事実を確認して行う取消し(古物営業法第6条)と、違反に対する処分としての取消し(第24条)の2種類があります。第6条第1項は、偽りその他不正の手段により許可を受けたこと、欠格事由に該当していること、許可を受けてから6月以内に営業を開始せず又は引き続き6月以上営業を休止し現に営業を営んでいないこと、の3つを取消事由としています。第6条第2項は、営業所や本人の所在を確知できないときに官報で公告し、30日を経過しても申出がなければ許可を取り消せる「簡易取消し」を定めています。第24条は、法令違反で盗品等の売買の防止などが著しく阻害されるおそれがあるときなどに、許可の取消し又は6月を超えない範囲での営業の全部若しくは一部の停止を命じられるとしています。

種類主な事由根拠
取消し不正の手段で許可を受けた法第6条第1項第1号
取消し欠格事由に該当している法第6条第1項第2号
取消し6月以内に営業を開始しない、6月以上休止している法第6条第1項第3号
簡易取消し所在不明で、官報公告から30日たっても申出がない法第6条第2項、施行規則第4条の2
取消し又は営業停止法令違反で盗品等の防止などが著しく阻害されるおそれ法第24条第1項

簡易取消しについて、解釈運用基準は、現地確認、届け出た電話番号への連絡、追跡できる郵便の発出などを行って所在を確認できないことを確かめるよう、警察に求めています。移転したのに変更届を出していないと、この手続きで許可を失うおそれがあります。

古物商許可の6か月ルール(営業開始と休止)

古物商許可を取ったものの開業が遅れる場合に注意したいのが、古物営業法第6条第1項第3号の6か月ルールです。許可を受けてから6月以内に営業を開始しないとき、又は引き続き6月以上営業を休止し現に営業を営んでいないとき、公安委員会は許可を取り消せます。中古車販売店の場合、許可は下りたがオートオークションの入会審査や展示場の工事が長引き、最初の仕入れまで半年以上空く、という順番になると該当しかねません。条文は取消しを義務づける書き方になっていないため必ず取り消されるとは限りませんが、取消しの判断基準や猶予の扱いは公表資料に書かれていません。開業準備の遅れが見えたら、許可申請の時期を後ろにずらすか、営業開始の見通しを所轄警察署に相談しておくのが安全です。解釈運用基準は、ホームページで競り売りをする期間についても、6月以上の休止が取消事由に当たることを踏まえて6月を上限とするよう指導するとしています。

  • 許可申請は、営業所の確保と仕入れ先のめどが立ってから出す
  • 許可証を受け取った日を起点に、6か月以内の営業開始日を逆算する
  • 長期の休業を予定するときは、廃止して返納するか、営業を続けるかを先に決める

オートオークションへの入会手順と時期は「古物商許可とオートオークション会員」で確認できます。

返納後に古物商許可を再取得するとき

廃業して許可証を返納した後に、もう一度古物商を始める場合は、新規の許可申請になります。古物営業法第8条第2項により、廃止による返納があったときは許可の効力が失われるため、前の許可番号を復活させる手続きはありません。警視庁の案内では手数料は19,000円で、福岡県警察は標準処理期間をおおむね40日としています。注意が必要なのは、処分の途中で返納した場合です。第4条第7号は、第24条第1項による取消しの聴聞の期日と場所が公示された日から処分が決まるまでの間に廃止の返納をした者は、廃止に相当な理由がある場合を除き、返納の日から5年を経過しないと許可を受けられないとしています。第4条第6号も、第24条で許可を取り消された者は取消しの日から5年間許可を受けられないと定めています。通常の廃業による返納なら、この制限はかかりません。

  • 通常の廃業で返納した場合:新規申請で再取得できる(手数料19,000円)
  • 第24条の取消しを受けた場合:取消しの日から5年を経過するまで許可を受けられない(法第4条第6号)
  • 取消しの聴聞の公示後に返納した場合:相当な理由がない限り、返納の日から5年間は許可を受けられない(法第4条第7号)

ほかの欠格事由は「古物商許可の欠格事由」にまとめています。

古物商許可の更新と返納のまとめ

古物商許可には有効期限も更新制度もなく、返納か取消しがあるまで効力が続きます。その間は、営業所の変更は3日前まで、氏名や住所、代表者、役員、管理者の変更は14日以内(登記事項証明書を添付する場合は20日以内)に届け出ます。廃業したときは本人が、死亡したときは同居の親族又は法定代理人が、合併で会社が消滅したときは存続会社の代表者が、事由の発生から10日以内に許可証を返納します。警視庁の案内では返納の手数料はかかりません。許可を受けてから6か月以内に営業を始めない場合や、6か月以上休業した場合は取消しの対象です。会社の解散時に誰が返納するかなど、公表資料に明示がない点は所轄警察署の防犯係で確認してください。

許可の取り方から確認したい方は「中古車販売に資格は必要?古物商許可の取り方」をご覧ください。

古物商許可の更新と返納に関するよくある質問

古物商許可に有効期限や更新はありますか?
ありません。古物営業法の本則には、許可の有効期間や更新を定めた規定がありません。いったん受けた許可は、返納、取消しなどの事由が生じるまで効力が続きます。ただし、住所や役員などが変わったときの変更届出と、許可証の記載事項が変わったときの書換申請は必要です。
古物商を廃業したら何をすればよいですか?
許可証を返納します。古物営業法第8条第1項第1号により、古物営業を廃止したときは遅滞なく許可証を返納する必要があり、施行規則第7条により、廃止の日から10日以内に返納理由書(別記様式第9号)を添えて、主たる営業所を管轄する警察署を経由して返します。警視庁の案内では手数料はかかりません。
古物商の許可を受けた本人が亡くなったら、誰が許可証を返しますか?
同居の親族又は法定代理人です(古物営業法第8条第3項第1号)。死亡の日から10日以内に返納します。これに違反すると、第39条により5万円以下の過料の対象になります。
許可を取ったまま営業していないと、取り消されますか?
取消しの対象になります。古物営業法第6条第1項第3号は、許可を受けてから6月以内に営業を開始しない場合や、引き続き6月以上営業を休止し現に営業していない場合に、公安委員会が許可を取り消せると定めています。
一度返納した後に、もう一度古物商許可を取れますか?
取れます。新規申請として手数料19,000円を納めて申請し直します。ただし、古物営業法第24条による取消しの聴聞の期日と場所が公示された後に廃業して返納した場合は、相当な理由がある場合を除き、返納の日から5年間は許可を受けられません(古物営業法第4条第7号)。
中古車販売を始めるとき、車両や顧客の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

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