中古車のリサイクル料金(預託金)の扱い|売買時の精算とリサイクル券、表示方法

中古車のリサイクル料金と預託金は、買取の査定でも販売の見積もりでも必ず出てくる項目です。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、リサイクル券の確認、売買時の精算、資金管理料金、表示方法を整理しました。根拠は使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)、公益財団法人自動車リサイクル促進センター(JARC)の案内、国税庁の質疑応答事例です。
この記事で確認した一次情報
- リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ(自動車リサイクル促進センター)中古車の購入時と売却時の精算
- リサイクル料金内訳(自動車リサイクル促進センター)3物品の料金の目安、資金管理料金、情報管理料金
- 中古車販売における未経過自動車税等の取扱い(国税庁)リサイクル預託金相当額の消費税
中古車のリサイクル料金(預託金)とは
中古車のリサイクル料金(預託金)とは、将来その車が廃車になったときの処理費用として、所有者があらかじめ資金管理法人に預けているお金です。自動車リサイクル法第73条は、自動車の所有者に対し、最初の新規登録(軽自動車は最初の自動車検査証の交付)を受けるときまでに、再資源化等料金に相当する額を再資源化等預託金として資金管理法人に預託するよう定めています。資金管理法人は自動車リサイクル促進センターで、センターは2014年10月31日のお知らせで、リサイクル料金はシュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類の適正処理に充てる費用として予め自動車所有者が預け入れた料金だと説明しています。預託金は車台番号に結び付いて管理され、所有者が変わっても車と一緒に移ります。中古車の売買では、このお金を預けている権利を、旧所有者から新所有者へ譲る形で精算します。
預託金は廃車の時に使われ、売買のたびに払い直すものではありません。新車時に預託済みの車であれば、中古車として何度売買されても、預託金そのものは資金管理法人に置かれたままです。
リサイクル料金の内訳と金額の目安
リサイクル料金の内訳は、自動車メーカーと輸入事業者が行う3物品の適正処理の費用と、自動車リサイクル促進センターが運営するシステムの費用の2つに分かれます。センターのリサイクル料金内訳のページでは、3物品の料金の目安を、シュレッダーダスト料金が6,000円から12,000円程度、エアバッグ類料金が2,000円から4,000円程度、フロン類料金が2,000円から4,000円程度としています。具体的な金額は車種ごとに自動車メーカーと輸入事業者が各社のホームページで公表しており、メーカーが存在しない並行輸入車などはセンターが設定します。システムの費用は、情報管理料金が1台130円(2012年4月1日改定)、資金管理料金が新車購入時の預託で1台290円、引取時の預託で1台410円(2017年4月1日改定)です。
| 料金の区分 | 内容 | 金額(JARCの案内) |
|---|---|---|
| シュレッダーダスト料金 | シュレッダーダストを回収し適正処理する費用です | 6,000円から12,000円程度が目安です |
| エアバッグ類料金 | エアバッグ類を回収し適正処理する費用です | 2,000円から4,000円程度が目安です |
| フロン類料金 | フロン類を回収し分解して無害化する費用です | 2,000円から4,000円程度が目安です |
| 情報管理料金 | 電子マニフェストシステムなどの運用費用です | 1台130円です |
| 資金管理料金 | 預託金を管理する業務の費用です | 新車時290円、引取時410円です |
車ごとの預託金額はリサイクル券に書かれているほか、リサイクル料金検索でも確かめられます。査定のときに金額を控えておくと、販売時の見積もりにそのまま使えます。
中古車売買でのリサイクル預託金の精算方法
中古車売買でのリサイクル預託金の精算方法は、買主が売主に、車両価値金額とは別にリサイクル料金相当額を払う形です。自動車リサイクル促進センターは、中古車を購入する人は中古車販売店若しくは旧所有者に対して、車両価値金額とは別にリサイクル料金相当額を支払う必要があると案内しています。中古車として手放す側は、相手方から車両価値金額とリサイクル料金相当額を受け取ります。ただし、リサイクル料金のうち資金管理料金は除かれ、最初にリサイクル料金を支払った人の負担になります。販売店の実務では、お客様から買い取るときに預託金相当額を買取価格とは別に支払い、次のお客様に売るときに同じ額を受け取るので、帳簿上は出たお金と入ったお金が釣り合います。
| 場面 | 販売店の動き | 金額の考え方 |
|---|---|---|
| お客様から買い取る | 車両の買取価格とは別に預託金相当額を支払います | 資金管理料金を除いた額です |
| オークションで仕入れる | 預託金相当額の扱いを会場の規約で確かめます | 精算書に載った額を記録します |
| お客様に販売する | 車両価格とは別に預託金相当額を受け取ります | 仕入れ時に払った額と同じ額です |
| 使用済自動車として引き取る | 未預託の分があればお客様に払ってもらいます | 引取業者として預託状況を確認します |
オークションの精算方法は会場ごとの規約によるため、会員になる会場の規約で確認してください。会員登録の流れはオートオークションの会員になる方法で扱っています。
くるま屋開業スタート支援パック
仕入れと販売の預託金相当額を車両ごとに記録し、見積書や帳簿へそのまま反映できる体制づくりを含めて、中古車屋の開業準備を一括で支援します。
リサイクル券(預託証明書)と預託状況の確認
リサイクル券とは、リサイクル料金を預託したことを証する書面で、自動車リサイクル法第74条では預託証明書と呼ばれています。同条は、最初の新規登録や最初の自動車検査証の交付を受けようとする者に、国土交通大臣等へ預託証明書を提示するよう定め、提示がなければ登録や車検証の交付をしないとしています。中古車の買取では、リサイクル券の有無と記載された預託金額を確認します。リサイクル券が見当たらない場合でも、自動車リサイクル促進センターの自動車リサイクルシステムにあるリサイクル料金検索で、車台番号と登録番号から預託の状況を確かめられます。センターは車台番号でリサイクル料金を管理しており、所有者の情報は持っていないため、所有者の名前では調べられません。
- 買取の査定時に、リサイクル券の有無と預託金額を確認し、査定書に書きます。
- リサイクル券がない車は、リサイクル料金検索で車台番号と登録番号から預託状況を調べます。
- 預託済みの金額を控え、販売時の見積書に同じ額を載せます。
- 納車時にリサイクル券をお客様に渡し、受け渡しを記録します。
車検証が2023年1月4日から電子化されたことで、所有者や有効期間は車検証閲覧アプリで確認する形に変わりました。センターの案内では、新車購入時に支払ったリサイクル料金の状況も車検証閲覧アプリなどで確認できるとされています。買取時に集める書類全体は中古車販売で必要な書類一覧にまとめています。
リサイクル預託金相当額の消費税と会計処理
リサイクル預託金相当額の消費税は非課税です。国税庁の質疑応答事例「中古車販売における未経過自動車税等の取扱い」は、リサイクル預託金相当額は自動車リサイクル法に基づき資金管理法人に預託されているものなので、中古車として転売する際のリサイクル預託金相当額は売主から買主への預託金の譲渡となり、金銭債権の譲渡として非課税になると回答しています。一方、同じ事例で、未経過分の自動車税相当額は、4月1日現在の所有者に課される自動車税そのものを払うものではなく、中古車の購入代金の一部として支払うものなので、車両本体価格と区分して表示しても資産の譲渡等の対価に含まれるとしています。未経過分の自賠責保険料相当額も同じく対価に含まれます。見積書や請求書では、課税の項目と非課税の項目を分けて書くことで、消費税の計算を誤りにくくなります。
| 項目 | 消費税の扱い(国税庁の質疑応答事例) | 見積書での書き方 |
|---|---|---|
| リサイクル預託金相当額 | 金銭債権の譲渡として非課税です | 非課税の項目として分けて書きます |
| 未経過分の自動車税相当額 | 車両の対価に含まれ課税されます | 区分して表示しても課税の対象です |
| 未経過分の自賠責保険料相当額 | 車両の対価に含まれ課税されます | 区分して表示しても課税の対象です |
仕入れで払った預託金相当額は、販売で同じ額を受け取るまで店の手元から出たままになります。帳簿でどの勘定科目を使うかは、顧問の税理士に確認してください。
支払総額表示とリサイクル預託金相当額
支払総額表示とは、中古車の広告や店頭で、車両価格と諸費用を合わせた、購入に最低限必要な総額を示すルールで、自動車公正競争規約により2023年10月1日から義務になりました。自動車公正取引協議会の支払総額の解説では、支払総額に含まれる諸費用の税金等の区分に、リサイクル預託金相当額が挙がっています。車両価格に含めない場合は諸費用として支払総額に入れ、車両価格に含めることも可能とされています。一方、未預託の車や追加の預託が必要な装備がある場合のリサイクル料金は、購入時ではなく廃棄時に支払うものなので、支払総額に含まれない諸費用として整理されています。プライスボードと注文書で、預託金相当額を車両価格に入れるか諸費用に入れるかをそろえておかないと、表示と請求がずれる原因になります。
- リサイクル預託金相当額は、車両価格に含めるか、諸費用として支払総額に入れます。
- どちらに入れるかは店で決め、広告、プライスボード、注文書で同じ扱いにします。
- 未預託の車のリサイクル料金は、廃棄時に払うものとして支払総額に含めません。
支払総額に含める費用の全体は中古車の支払総額表示とはで詳しく解説しています。
輸出時のリサイクル料金の取戻しと廃車時の扱い
輸出時のリサイクル料金の取戻しとは、預託済みの車を中古車として海外に輸出した場合に、所有者が預託金を返してもらえる制度です。自動車リサイクル法第78条は、預託金が預託されている自動車の所有者が、輸出した場合などに預託金を取り戻せると定め、取戻しの権利は輸出した日から2年で時効により消滅するとしています。自動車リサイクル促進センターの案内では、取戻しの手数料は1台あたりパソコン申請で210円+消費税、一般申請で464円+消費税です。「自動車」として輸出することが条件で、「解体自動車」として輸出した場合は取戻しできません。センターは、輸出による返還以外の払戻しや返還はできないと明記しています。国内で廃車にする場合は、引取業者に使用済自動車として引き渡し、未支払い分のリサイクル料金があればその時に支払います。
| 場面 | リサイクル料金の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 国内で中古車として売買する | 預託金はそのままで、相当額を当事者間で精算します | JARCの案内 |
| 中古車として輸出する | 所有者は2年以内なら取戻しを申請できます | 自動車リサイクル法第78条 |
| 使用済自動車として引き渡す | 未預託の分があれば引渡し時に支払います | JARCの案内、同法第9条 |
下取りや買取で使用済自動車を引き取る販売店は、引取業の登録が必要になります。登録の要否と手続きは引取業の登録とはで確認できます。
まとめ
中古車のリサイクル料金(預託金)は、最初の登録時までに所有者が資金管理法人に預けたお金で、中古車の売買では預託金はそのままに、リサイクル料金相当額を買主が売主へ払って精算します。売主が受け取る額からは資金管理料金が除かれ、資金管理料金は最初に支払った人の負担です。リサイクル券がなくても、車台番号と登録番号でリサイクル料金検索から預託状況を確認できます。国税庁の質疑応答事例により、リサイクル預託金相当額は金銭債権の譲渡として消費税は非課税です。支払総額表示では、車両価格に含めるか諸費用に入れるかを決め、広告と注文書で扱いをそろえてください。
中古車のリサイクル料金と預託金に関するよくある質問
- 中古車を買うとき、リサイクル料金は誰に払いますか?
- 自動車リサイクル促進センターの案内では、中古車を購入する人は、中古車販売店又は旧所有者に対して、車両価値金額とは別にリサイクル料金相当額を支払います。預託金そのものは資金管理法人に預けられたままで、売買のたびに持ち主の間で精算します。
- 中古車を売るとき、資金管理料金も返ってきますか?
- 返ってきません。中古車として手放すときに受け取るのは車両価値金額とリサイクル料金相当額で、リサイクル料金のうち資金管理料金は除かれます。資金管理料金は最初にリサイクル料金を支払った人の負担です。
- リサイクル券をなくした場合、預託の有無はどう確認しますか?
- 自動車リサイクル促進センターの自動車リサイクルシステムにあるリサイクル料金検索で、車台番号と登録番号を入力して確認します。センターは所有者の情報を持っていないため、所有者名での確認はできません。
- リサイクル預託金相当額に消費税はかかりますか?
- かかりません。国税庁の質疑応答事例によると、中古車として転売する際のリサイクル預託金相当額は、売主から買主への預託金の譲渡で、金銭債権の譲渡として非課税です。未経過分の自動車税相当額や自賠責保険料相当額は、区分して表示しても車両の対価に含まれる点が違います。
- 中古車を輸出した場合、リサイクル料金は戻りますか?
- 自動車リサイクル法第78条により、預託済みの自動車を輸出した所有者は、所定の手続きでリサイクル料金を取り戻せます。期間は輸出した日から2年間で、手数料はパソコン申請で210円+消費税、一般申請で464円+消費税(1台あたり)です。
- 中古車販売を始めるとき、車両や顧客の管理はどうすればよいですか?
- 販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。
- 自動車リサイクル促進センター リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ:https://www.jarc.or.jp/automobile/fee/timing/
- 自動車リサイクル促進センター リサイクル料金内訳:https://www.jarc.or.jp/automobile/fee/feeindex/
- 自動車リサイクル促進センター リサイクル料金に関するよくあるお問い合わせを掲載しました(2014年10月31日):https://www.jarc.or.jp/news/1879/
- 使用済自動車の再資源化等に関する法律(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000087
- 国税庁 質疑応答事例 中古車販売における未経過自動車税等の取扱い:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/41.htm
- 自動車公正取引協議会 中古車の販売価格の表示が「支払総額」に変わりました:https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/index.html
- 国土交通省 電子車検証特設サイト 自動車所有者・使用者の方へ:https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/user/
