車の委託販売とは|中古車を在庫を持たずに売る仕組みと契約で決めること

中古車の委託販売とは 在庫を持たずに売る仕組みと契約で決めること

車の委託販売は、持ち主から売却を任された車を店が預かって売り、手数料を受け取る売り方です。仕入れの資金が要らないため、開業したばかりの中古車屋でも並べる台数を増やしやすい反面、価格や保管中の事故をめぐって持ち主ともめやすい面があります。この記事は中古車屋の開業ガイドの一つとして、中古車の委託販売の仕組み、契約で決めること、古物商許可との関係、名義と税金と消費税の扱いを、古物営業法と民法の条文(e-Gov法令検索)、大阪府警察の古物営業法Q&A、国税庁の資料で確かめて整理しました。

この記事で確認した一次情報

中古車の委託販売とは

中古車の委託販売とは、車の持ち主(委託者)から売却を任された販売店(受託者)が、車を預かって買い手を探し、売れた代金から手数料を差し引いて持ち主に渡す取引です。店は車を買い取らないため、仕入れの資金を寝かせずに展示の台数を増やせます。古物営業法第2条第2項第1号は、古物を売買すること、交換すること、又は委託を受けて売買し交換することを古物営業と定めており、委託販売も古物商許可が要る営業に入ります。売れるまで車の所有者は持ち主のままで、名義の移転は持ち主から買い手へ直接行います。店の取り分は手数料だけになるため、1台あたりの利益は買い取って売る場合より小さくなりやすく、売れ残ったときの扱いを契約で先に決めておかないと、展示の場所と手間だけがかかります。

比べる点 買取販売 委託販売
仕入れの資金 車の代金を先に払います 払いません
売れるまでの所有者 販売店です 持ち主(委託者)のままです
店の収入 売値と仕入れ値の差です 契約で決めた手数料です
価格の決め方 店が決めます 持ち主と合意して決めます
売れ残り 店が値下げや業販で処分します 持ち主に返すか、価格を見直します

委託販売で在庫を持たずに売る仕組み

委託販売で在庫を持たずに売る仕組みは、持ち主から車と書類を預かる、店頭やネットに掲載する、買い手と契約する、代金を受け取って持ち主に精算する、名義を移すという5つの段階でできています。どの段階でも、持ち主と店の間の取り決めが基になります。とくに、買い手から受け取る代金と持ち主に渡す金額の差、つまり手数料の計算方法と、精算の時期を書面で決めておくことが、後のもめごとを防ぎます。

  1. 持ち主の本人確認をし、委託販売の契約書を交わし、車と車検証の写しを預かります。
  2. 車の状態を確かめ、修復歴の有無などを表示して店頭やネットに掲載します。
  3. 買い手と売買契約を結びます。売主を誰とするかは契約書に明記します。
  4. 買い手から代金を受け取り、手数料と立替えた費用を差し引いて持ち主に渡します。
  5. 持ち主から譲渡証明書と印鑑証明書などを受け取り、買い手の名義に移転登録をします。

名義変更の書類は中古車の名義変更(移転登録)の手続き、買取と委託以外の仕入れ方は中古車の仕入れルートにまとめています。

委託販売の契約で決めること

委託販売の契約で決めることは、手数料、販売価格と値下げの手順、委託の期間、保管中の事故や故障の負担、名義と書類の預かり、売れ残ったときの扱いの6つが中心です。とくに手数料は、定額にするか売値の何割にするか、整備や清掃、掲載の費用を別に取るかで、持ち主が受け取る金額が大きく変わります。民法では、委任を受けた者は善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負い(第644条)、報酬を受けずに物を預かる受寄者でも自己の財産と同じ注意で保管する義務を負います(第659条)。手数料を受け取って車を預かる店は、持ち主の大切な財産を預かる立場として、保管の方法と事故時の負担を契約書に書いておく必要があります。

項目 契約書に書く中身の例
手数料 定額か売値の割合か、税込か税抜か、整備費や掲載費を別に取るか
販売価格 最初の売値、最低価格、値下げに持ち主の同意が要るか
委託の期間 何か月で見直すか、期間が過ぎたら返すか延長するか
保管中の事故 保管場所、試乗の可否、事故や盗難、自然災害のときの負担と保険
名義と書類 譲渡証明書などを受け取る時期、預かった書類の返し方
精算 代金を受け取ってから何日以内に払うか、振込手数料の負担
解約 持ち主が途中で引き上げるときの費用、店から解約できる場合

保管中の事故に備える保険は、店の保険が預かった車の損害を補償するか、持ち主の自動車保険で何が補償されるかを、それぞれの保険会社に確かめてから契約書に書きます。日本カーネットでは保険会社のご紹介まで行っています(各社の審査があります)。

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委託販売と古物商許可の関係

委託販売と古物商許可の関係は、古物営業法の定義で決まっています。第2条第2項第1号は「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」を古物営業と定め、第3条でこの営業をするには都道府県公安委員会の許可が要るとしています。大阪府警察の古物営業法Q&Aも、買い受け、交換、委託によって売主などに利益が生じる場合は許可が必要と案内しています。許可を受けた後も、第15条で、売却の委託を受けようとするときは相手方の住所、氏名、職業、年齢を確かめる措置をとる義務があり、第16条で、委託により古物を受け取ったときと引き渡したときに、取引の年月日、品目と数量、特徴、相手方の住所や氏名などを帳簿等に記録します。帳簿は第18条で最終の記載の日から3年間保存します。

  • 持ち主の本人確認は、買い取るときと同じ方法で行います。
  • 古物台帳には、預かったときと買い手に引き渡したときの両方を記録します。
  • 不正品の疑いがあると認めるときは、第15条第3項により直ちに警察官に申告します。

許可の取り方は中古車販売に必要な古物商許可の取り方、許可を持たずに売るとどうなるかは古物商許可なしで中古車を売るリスクで確認できます。

委託販売の車の名義・自動車税・消費税

委託販売の車の名義は、売れるまで持ち主のままです。そのため、自動車税は4月1日時点の所有者に1年分かかるという原則がそのまま持ち主に当てはまり、3月に預かった車が4月1日を過ぎて売れた場合、その年度の自動車税は持ち主に課税されます。預かる時期によっては、税金の負担をどうするかを契約の前に持ち主と話しておきます。消費税は、国税庁の問124によると、受託者が委託者から受ける委託販売手数料が役務の提供の対価になります。軽減税率の対象にならない商品の販売だけを委託されている場合は、売った代金を課税売上げ、持ち主に払う金額を課税仕入れとする処理も認められています(消費税法基本通達10-1-12(2))。どちらで処理するかは顧問の税理士と決めます。

年度途中の税金の扱いは中古車の自動車税の還付と精算、消費税の基本は中古車販売の消費税とインボイスにまとめています。

委託販売で起きやすいトラブルと防ぎ方

委託販売で起きやすいトラブルは、価格の合意、預かり中の傷や事故、売れた後の精算の遅れ、修復歴などの表示の誤りの4つに集まります。防ぎ方の基本は、預かったときの車の状態を写真と書面で残し、持ち主の署名をもらうことです。走行距離、外装の傷、修復歴の有無、付属品、鍵の本数を記録しておくと、返すときにも売ったときにも話が食い違いにくくなります。表示は店の責任で行うため、修復歴がある車を「なし」と表示しないよう、預かるときに店でも確かめます。

  • 預かり時の写真と状態の記録に、持ち主の署名をもらいます。
  • 値下げの連絡方法(電話か書面か)と返事の期限を決めておきます。
  • 精算は売買代金を受け取ってから何日以内と決め、精算書を渡します。
  • 修復歴の判断は業界の基準に沿って行います。基準は修復歴の定義と表示にまとめています。

委託販売に関するよくある質問

委託販売なら古物商許可がなくても始められますか?
始められません。古物営業法第2条は「委託を受けて売買」する営業も古物営業と定めており、第3条で公安委員会の許可が要ります。大阪府警察のQ&Aも、委託によって売主などに利益が生じる場合は許可が必要と案内しています。
委託販売の車の名義はいつ変えますか?
売れるまでは持ち主の名義のままにし、買い手が決まってから持ち主から買い手へ移転登録をします。持ち主から譲渡証明書や印鑑証明書を受け取る時期を契約書で決めておきます。
委託販売の手数料はどう決めればよいですか?
定額にするか売値の割合にするか、整備や掲載の費用を別に取るかを決め、契約書に書きます。公表された相場の資料は見当たらないため、自店の手間と経費から1台あたりの必要額を出して決めます。
預かっている車が店で傷ついたらどうなりますか?
負担は契約と保険の内容で決まります。民法は、委任を受けた者に善良な管理者の注意を求めています(第644条)。預かる前に、保管場所、試乗の可否、事故時の負担と保険を契約書に書いておきます。
委託車と買取車の在庫を分けて管理するには?
委託か買取か、持ち主、手数料、精算の状況を1台ごとに記録できる車両販売システム(車販ソフト)を使うと、在庫一覧で両方を区別できます。整備システム 比較の情報を見るときは、販売と整備の記録がつながるかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。